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アクリル絵具の耐久性について

アクリル絵具は絵具の中で最も耐久性に優れている部類に入る。古来からある耐久性のとても高い油や卵や膠等に比するほどに丈夫である。

アクリル絵具はメタアクリル酸の化学合成による合成樹脂のアクリル樹脂を展色材(メディウム)とし水性のアクリル絵具では水を希釈剤とした溶液で顔料を練った絵具である。

アクリル樹脂はプラスチック等と組成が近い物であり経年や化学反応による変化や劣化が極めて少ない点は特に優れている。同時に乾くと非水溶性の耐水性になり用途に応じた適切な硬さと柔軟さを与える弾性もあるので外部から衝撃にも強い(大体の自然素材は酸化により硬くなると同時に柔軟性を失い脆くなっていくので経年による劣化にも強い)。メディウム自体の持つ色味も他のメディウムよりも無色透明に近いので顔料本来の色味や鮮やかさを損なわず絵具化する事が出来る。絵具の他に近年の合成樹脂による画面保護の為の仕上げ用ニスにアクリル樹脂が多く採用されている事からもその耐久性に定評のある事が分かる。アクリル絵具自体もアクリル樹脂を多く含み(アクリルガッシュは少ない)更に制限無くメディウムを添加する事も可能なので有害な紫外線や大気ガスから絵具に含まれる顔料や支持体の画面を守る耐光性や耐候性に優れる。アクリル絵具が開発されて百年近くしか経っていないので数百年以上経過した他の絵具と異なり実証はされていないが自然による通常の経年劣化や化学変化の少なさから他の長い年月を耐えてきた絵具と同等かそれ以上の耐久性を持つとされる。

速乾性も高く水分が蒸発すれば乾燥の過程はほぼ完了する。絵具同士をブレンディングしてグラデーションを作る技法においては素早さが必要となってしまうが塗り重ねにおいても下地がすぐに乾くので素早い仕事が可能となる。速く乾く事は耐久性の面においても乾燥待ちの保管の際の絵具の破損や油絵具の様な乾燥後の下地の未乾燥による描画面の亀裂や剥離のリスクも少なくなる。

接着力も乾くと再び溶かして剥がす事がとても困難なほどに高い。これは下地への接着により絵具の剥離を大きく防ぐ事になる。ただし油性面の様な平滑な面ではその固着力も低下し特殊な下地剤であるジェッソ等のプライマーや下地を粗く削る作業が必要となる。

乾くと対溶剤性もあり弱溶解性の揮発性溶剤であるアルコールや脂肪族炭化水素系の石油系溶剤には溶解しない(長く浸けておくと膨潤するかもしれないが)。しかし強溶解性の揮発性溶剤であるエステルや油性のブラシクリーナー等の様な芳香族炭化水素系溶剤には溶解する。とはいえ樹脂の用途により対溶剤性の硬度を変性させているので油性の仕上げニスをテレピンや石油系溶剤のペトロールで溶かし剥がす事も可能である。

乾いてしまえばとても強い耐久性を持つが乾くまでの間に周囲の気温が10℃以下であるとアクリル樹脂の皮膜の造膜が上手くいかない事もあるので厳寒の冷所での制作や乾燥は避けた方が良いとされる。
逆に耐熱性では高温化では保管の際等にアクリル画の作品の画面同士を重ねておくとベタつき張り付く事もある。

混色制限も無いので安心して使う事が出来る点は気兼ねする必要が無い。ただカドミウム系顔料の色の絵具は毒性があるので気をつけた方が良い または他の顔料で色を代替している絵具を使用かするかで。

人間の手を加えづらい天然素材と異なり合成樹脂であるアクリル樹脂による絵具は化学により組成を大きく有用に変える事が出来てとても高い万能性や強みを持つので著名な絵画技術研究の化学者が評するにアクリル絵具は絵画技術上のあらゆる能力を持つ「賢者の石」の様であるとも言っているほどである。

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