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アクリル絵の具の弱点・欠点・短所

注)この記事は決してアクリル絵具を悪く言う為のものではありません。良い点もたくさん他の記事で挙げているのでよければそちらもご覧下さい。

アクリル絵具の図

・低温化で描画すると乾燥の際に皮膜が上手く造膜されない。5〜10℃以下の環境で起こる。冬の屋外写生や暖房の無い部屋が想定される。風景画家や極貧の画家(私)には厳しいと思われる。

・乾燥すると厚塗りしていても水分の蒸発に伴ってボリューム・容積が減り、痩せる。インパストの様な厚い塗りがやや物足りなく感じる。モデリングペーストのような硬く痩せづらいメディウムを用いると痩せが少なくなる。

・速乾である。これは利点でもあるが、描画においてはエアブラシでもない限りグラデーションが難しくなる。どちらかと言えばエッジのはっきりした絵作りに向いていると思う。乾燥が速いので筆やパレットや周囲への飛沫などに気をつけながら描く必要もある。

・技法的に他の画材より比較的油絵に近いのに、混合技法で油絵具の上に重ねる事が出来ない。(その逆は出来る) 下層になる油絵具が平滑過ぎる事や上層のアクリル絵具が速乾過ぎる事から起こるらしい。この点はアルキド樹脂による水溶性アルキド絵具で補う事は出来る。

・水に濡れている時の濡れ色と乾いたときの本来の色の差が大きい。油絵具以外の湿式絵具全てに言える事ではある。乾燥後再度制作に取り組む時や乾燥した皮膜に上描きする時はそれを計算して描画する必要がある。濡れている時は明るく白っぽくやや乳白色がかり、乾くと少し暗めに落ち着く。

・高い気温下にあると絵の表面がベタつく事がある。冷房のない夏の猛暑日の絵の保管場所などが想定される。絵の表面が密着する形で重ねておくと貼り付く可能性がある。

以上の欠点と思われる点を挙げてもなお、絵具の中では最も利便性や耐久性に優れていると考えています。