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CGでアナログ風の絵を描くには

いかにもCGで描きましたという様な絵よりも、CGではあるけれどもアナログの画材で描いた様なデジタル絵がイラスト界隈の商用または個人の間でニーズが多く求められその様な絵が多く見られる様になってきた。

CG黎明期からレイヤーやマスクやフィルタを駆使してデジタルでアナログの風合いを再現する手法は存在していたが近年のパソコンの処理能力の向上やそれに伴いソフト上で実現出来る機能が進歩して比較的低価格のデバイスにおけるソフトやアプリでもアナログ画材風の再現が可能になってきたのが大きい。

そこでどの様にすればデジタルのペイントソフトでアナログの風合いで描けるのか?

・フィルタを使う
各種のテクスチャを持つフィルタを使いレイヤー上の画像に材質感を与える。基本機能にあるぼかし・ガウス・雲模様等を色調補正等をかけながら複数のレイヤーで組み合わせて自作しても良いし、既にある水彩画やその他の画材の紙質を与えるフィルタでも良い。

・ブラシを変える
油絵や水彩や他にはコンテや墨等と言ったその他多くの各種画材とその筆の形状を模した各種ブラシを使う。各種画材に見られるそれぞれの絵具の混ざりやにじみや盛り上がりを再現したブラシが近年本物に迫り得る再現度でリリース・アップデートされている。それらをさらに自分の求める絵肌になる様にブラシをカスタマイズする。

ただここまでの方法だと既にある誰でも使用可能な機能を使っているだけなので機能の組み合わせを工夫しないとわりと同じ様な絵肌になりがちで個性が出せない様にも思える(まぁ絵描きは絵は内容で勝負すれば良いのでここまでのアナログの風合いを与える方法でも充分ではある気もするが)。 ではさらにアナログの風合いを絵に与えるには?

・塗り方を変える
多くのペイント系ソフトで線を引いた後に色を塗るブラシツールがデフォルトの設定では大抵はエアブラシ(もしくはエアブラシの様な筆跡のきわがきれいにぼけるブラシ)になっていてそれでそのまま塗ると滑らかできれいなグラデーションの塗りが出来るのだけどきれい過ぎて逆に人工的な塗りに見えやすい(余程変化をつけて細かく塗らない限りは)。
なので逆に、普通のベタ塗りや色が滑らかに推移するグラデーションであっても、いくばくかムラを出して描くと人が描いた感じがしてアナログに近づけやすい。
そして輪郭と背景となる地の境界をはっきり分けないで塗る。余程の近距離でも無い限り輪郭が切り取った様にくっきりときれいに分かれていると人工的な印象を与えやすいので、ムラを付けつつ部分的にぼかしたりところどころはみ出させると自然さが出る。
逆に、ぼかすべき場所でぼかさずにある色からある色へと滑らかにグラデーションしていく場所でわざと色に段差をつけて中間のハーフトーンは描かずにはっきりと大胆に分けて描いても人がグラデーションを描こうとして誤った感じが機械でなく人による行為を感じさせる。

ムラを出す描き方としてはブラシの透明度を少し下げて半透明くらいにすると重ね塗りをした時の様なムラが生まれやすい。
不透明に描く場合でも色の段差をはっきりさせたり時にはぼかしたりさせ自然のフラクタル(有機的)なランダムな塗りで人工的な塗りを和らげる事が出来る。
上に置いた色が下の色に混ざるアナログの色塗りを擬似的に再現した、下地との混色またはにじみの機能が手持ちのソフトに機能としてあればそれを使うとなお良い。

色もアナログで描くよりもモニターの光が絵具となるデジタルで描く場合では色相・明度・彩度の表現出来る幅が広くなり、色味や明るさや鮮やかさが強くなりがちなので中間色かもしくはいっその事灰色に少し色味を帯びるくらいの彩度で描くと実際のアナログの色味に近づく。