巨額の絵画等の美術品への購入や投資が行われたバブル期を経て2010年代に起きた?アートブームを経てそれでも未だ一般的な日常で芸術やアートの話はそれほど多く話題に登るのを多く聞かないのでまだまだ日本にアートが浸透した様にはあまり思えない気がする(デザインや漫画・アニメ・ゲーム等のサブカルチャー等は洗練され良く馴染んでいる様には感じられるものの)。
文化庁の示す近年の国内の美術市場での取引の統計を見るとその取引学はおよそ平均で2500億円前後であり過去の同じ統計の数字は見つからないもののバブル期の美術品の輸出入の額が6000億円近くあったのがバブル崩壊以降およそ500億円前後で現代まで推移してきているのはお金が全てでは無いにしろアートがどのくらい日本に浸透してきているのかの一つの指標としての参考に足るものだとは思う(最初に挙げた市場取引の統計によると近年は微増傾向にあるらしいので若い愛好者の方々の意識の変容に期待出来る可能性はあるかもしれない)。
ここで言うアートとはあやふやに感動とか芸術とか単に綺麗だといった日本で使われているアートという意味ではなく世界で定義されている所のARTの方である。そのARTとは素晴らしいものにせよ耳に目に痛いものにせよ人類にとっての美の考え方を大きく揺さぶる革新的な価値観の提起や既存の価値観を覆す様な作品および芸術的な主義主張の事である。これは世界のアートのリーダーシップを取ってきた近代西洋の美が革新による進歩を以って辿ってきた歴史的な経緯による所が大きくこの美術史観を更新する新たなる定義を生み出す事こそが現代芸術の世界標準となっている(日本は日本で国の内部で独自に芸術を熟成するにしろ腐るにしろガラパゴスに独自に芸術文化を内製するのも悪くは無いのだろうけど独自性のあるオリジナルの文化を世界という舞台に推し勧め全世界人類共通の関心事の一つである芸術の分野で世界というフィールドにおいて供与・参加・共有させる方が日本としても健全な進化や人類への貢献を果たせるのではないだろうか)。
その事を踏まえてなぜ日本にアートが根付かないのかを考えると購入における資産としての税制や鑑賞の環境の未整備もあるのだろうけれどそれ以前に国民性として自分の価値観で自分の良いと思える価値観の物差しを決める事が出来る人が少ないのでそもそも評価の定まらない最先端を走る前衛アートの持つ新しい価値観を新しい良い作品・考えとして認められないもしくは検討出来ないからなのではと考える(もちろんその点においては自分もまだまだ不勉強なので難しいのではあるが)。 生き方から日々の細かい決定において比較的流されやすいというか発達した西洋の個人の決定を尊重する主義思想考え方と比べて。日本人は作り手としては元々の気質は独自性が高いので良い物を作る傾向はあるものの。自分は自分、生き方から細かいこだわりまで自分が良いと思う物や事を他人にどう言われようと良しとする気質において。 価値観は人それぞれなので一つのアートに全員が染められるという事は至極不自然でそれぞれの価値観で自身に合うアートに出会い出会う事がアートを楽しむ事となり結果広く普及するのではとも。
これまで辿られてきた美術の系譜は知っておく方が良いとしてもこれからのアートは自分で決めるものであるという考え方があっても日本人には充分すぎるのかもしれない。