黒と言っても絵具では微妙に色味が違う。それは顔料の違いによる。
主に洋画材の絵具で使用される顔料として、
・骨炭
アイボリーブラックと呼ばれる。象牙から成るが現代では代替で炭素とリン酸カルシウムから成る。今でも真正の象牙を使用しているメーカーの物もある。油絵具にした時には絵具の乾燥を遅める。リン酸カルシウムを餌に黴(かび)が発生しやすい。他の黒色顔料と比べて着色力が弱めで透明度が高い。
・植物炭
桃の種又は葡萄の搾りかすを焼成した物が原料となる。透明度が高く粒子が細かい。漆黒度も高い。油絵具にした時には乾燥をやや阻害する。現在では有機顔料のアニリン黒で代替されている。
・ランプ黒
油の煤(すす)を原料とする。粒子が細かく着色力も高い。主成分がほぼ炭素である。艶が消えやすい。
・鉄黒
酸化鉄黒と呼ばれる。着色力も比較的強く不透明度が高い。乾燥も比較的速い。悪い変化を起こす化学変化も無いので汎用性も高い。
がある。
特性は様々細かく異なるが絵を描く上で最も気になるのは色味の違いである。
骨炭は黒に赤〜橙色の色味があり、
植物炭は黄〜緑みに寄り、
ランプ黒は青みがかり、
鉄黒は赤〜紫みに寄る。
これは目で視認出来るがほんのり感じられるもので暖かみや冷たさにそれらの色味を確認出来る。これは白と混色してみても良く確認出来る。