ホルベイン社から発売されている油絵の具ヴェルネシリーズからメディウムとしてブラックオイルが発売されていたので試してみた。
蓋を開けてみると瓶の中のオイルの表面がカラメルが固まった様な感じで乾燥していてかさぶたの様に表面を覆っていた。どの瓶も同じだったので仕様なのだろう。ピンセットで最初に取り除いて下さいとカタログにも記載されていたので。
成分は加熱処理した重合亜麻仁油と鉛白からなる。
特徴としては乾燥が早く、強い光沢、濃褐色の粘稠体、強固な画面を形成すると同社のサイトにある。
乾燥にかかる時間はチタニウムホワイトをベースにした色で試してみたところ、普通の平塗りで翌日に指触乾燥するくらいに早い。やはり鉛白のせいなのか強力な乾燥力を感じた。当然生油のリンシードより速くも感じた。
加熱重合乾性油の堅牢で丈夫な絵作りを目指す画家にはうってつけのメディウムである。同様の耐久性で乾燥の遅いスタンドオイルと使い分けしても面白そうである。
光沢はスタンドオイルほどでは無いがそれに近い強い光沢がある。
オイルの濃い暗い黒い焦げ茶色は絵具に混ぜ過ぎると当然ブラックオイルの色が反映され褐色になるが、普通に適量絵の具に混ぜる量ならそれほど褐色は目立たなく乾燥するにつれ若干薄くなる様である。
粘稠体ではあるがスタンドオイルの様な糸引く蜂蜜状の濃い粘りではなく、液状に近く若干とろっとしたくらいの感触で、パレットにオイルを垂らして傾けてみるとすぐさま垂れてくるくらいには液状である。同シリーズのスタンドオイルも一般に発売されているスタンドオイルよりゆるい液状に近いので古典的技法を謳うこのシリーズの特徴なのだろう。
描き味はさらっとした感触になりタッチは滑らかにしやすかった。薄塗り中塗りはもちろん、比較的厚い塗りでも乾燥が速いので色々な局面で使えそうである。
マスチックワニスと混ぜてしばらく置くとメギルプというゼリー状のメディウムも作れる様だ。同シリーズでマスチックワニスも発売されている。