ブロックスの油絵具について

ベルギーのblocksという絵具会社の油絵具を使っている。

blockx公式webサイト

はじめは国産の物を使っていたのだけど、外国の絵具はどんなものなのかなとか、国産より本場ヨーロッパの物の方が良いという評判(国内での製造技術の未発達だった昔の話だとは思うけど。今は遜色無いのだろう)とか、何がどんな風に違うのか興味があって色々なメーカーを試してたところ、このメーカーの絵具を見つけた。
絵具同士の比較はほとんど体感になってしまうのだけど、外国のもの(ほとんど欧州のもの)は柔らかい練りが多いとは感じた。輸入にかかる費用分だけ高いのかとは思うけど(体質顔料以外の)顔料濃度が濃ければ又は顔料の質が良い物になれば価格は高くなるのだけど、やはり海外の絵具は高い物が多く、濃度の濃さを感じさせる隠蔽力を感じる(絵具の透明不透明によらず)。高価格による思い込みでは無いと信じたいけど。

顔料と油以外に調整材として乾燥材や樹脂その他増量材等含んでいる絵具もある中、ブロックスの油絵具もカタログに記載の"顔料と油のみで混ぜ物の無い"という謳い文句の通り、柔らかい練りで元々着色力の無い色や相当な透明色以外の色ではそのしっかりとした絵具の厚さを感じさせるものであった。ルーブル美術館での絵画の修復にも使われているとか。実際、現代的な油絵具の乾性油の製造技術の高温圧搾、でなく低温圧搾で作った乾性油を使用してる様でそれもこの絵具を良いと感じた理由なのかもと考えている。塗ってみて、そして乾いた絵具の皮膜を観察してみて感じたところ。わりと海外の特にブロックスの絵具に感じたのがその辺りの感覚で。気のせいか絵具の蓋を開けて匂ってくる香ばしい油の匂いが強い様に感じる。これは気のせいかもしれないが。ただ油が良質な昔の本来の製法で作られたものがあってそれの方が良い物なのだとしたらそちらを使ってみたいとは思う。

外国産で数少ない鉛白の絵具もある点は、中々他には無い特徴を持つ色なので個人的に好みである。海外では有害物質を含む絵具を規制している国が多いのであまり作られていない様なので。ただ色のラインナップが(国産の最新の絵具と比較して)若干古いのかなとは思う。とはいえ無機顔料系をはじめ合成有機顔料系もひと通り揃ってはいる。真正ラピスラズリのウルトラマリンブルーが同社サイトで買えるのも独特である。
使用感としては一部有機顔料系で乾燥材が入ってるのではと思うくらい乾燥の速い色がある(フタロシアニン青とか)。それとコバルトや鉛白以外はわりとゆったりと乾く。練りも粘りは少なくさらっと柔らかく硬さも無く混色したり描きやすい。
一番困るのはとても良い絵具なのだけど扱ってるお店が圧倒的に少ない。通販でも買えるけど、個人的にはちゃんと見て買いたいので神田神保町の扱っている画材店まで買いに行ってる。とはいえブロックスのメディウムまで扱ってるお店はもっと少ないのが。やはり通販頼みになる。

けっこう感覚とか印象とかアバウトな話になってしまうけれど、感覚によるフィーリングの一致は思うものを描く時に大事かと考える。