まず最初に一見わかりやすい違いとして身長差や体重差がある。直近のデータでは日本人の平均の身長と体重は男性は約170cm・約65kgで女性は約158cm・約52kgとある。ただこれはあくまで統計上での平均値であり遺伝的体質や生活習慣により個々人での違いも大きく様々で全ての男女に概ね当てはまるとは中々言い難く、他(他者や周囲の物体)との比較から成る相対的な要素でもあり、その傾向があるというだけで必ずしも男女差を描き分ける要素にはなるとはさほど言えない(身長差や肥瘦を付与する事で統計的イメージから成る男女差を表す一助にはなるものの)。
そこで、男女を描き分けるには人類の一人一人に対し男女の人体の違いとして概ね共通した傾向として各部位に現れる骨格(及び筋肉と脂肪)による体格の違いを描く事が重要で効果的である。
・腰
男女の性差による骨格や筋肉や脂肪による体型の違いは特に腰部に現れる。女性は骨盤が正面から見た時に横に広く縦の長さは短めで突き出た大腿骨骨頭部である太ももの付け根部分と併せて(下辺の長い)台形の形をしている。横から見た時には正方形に近い形をした骨盤が前傾し臀部(お尻の尾てい骨部分)が後ろに突き出ている様に見える(そしてその凸部周辺に男女共にお尻の筋肉や脂肪が付く)。男性は正面から見た時に骨盤が横に広く無くその分だけ縦に長く太ももの付け根部分と併せて正方形に近い形をしている。横から見た時にも前傾が少ないので臀部もそれほど後ろに突き出ていない様に見える。
・胸部、腹部
次に体型の違いが目立つのは胸部および腹部である。まず分かりやすいのは乳房の有無である。男性は胸の脂肪は少なく大胸筋の発達により胸部は逆三角形に近い(上辺の長い)直方体の形を取り、女性は大胸筋の発達は控えめで胸部の直方体に脂肪組織等による乳房が付いている形を取る。基本的に男女間でこの様な筋肉量・脂肪量・骨の長さや太さの差が多くの部位で現れやすい(鍛錬の有無や遺伝的体質や成長具合等により一概では無いが)。そして鎖骨や胸骨や肋骨や背面の背骨や肩甲骨から構成される(乳房を除いた)胸部を比較すると、男性は正面から見て縦に長く横に広く横から見て厚さもあり、女性は正面から見て縦の長さは短めで横幅も広く無く横から見て厚さも薄めである。腰部と対比して胸部を見てみると一層男女の胴体における差が顕著になる。その為に腹部においても腹から腰のくびれが男性は少なく女性は現れやすい。
・頭部
そして頭部においても男性は頭蓋骨が大きく顎の骨も大きく発達しており頭部を正面や横から見た時に長方形または正方形に近い形で角張っていて、女性は頭部の頭蓋骨が小さく顎が小さく顎先にかけて細く尖り頭部を正面や横から見た時には円形に近く丸みを帯びる傾向が強い。同時に頭部と胸部を接続している頸部である首では首前面にある頭部耳下から鎖骨に繋がる胸鎖乳突筋等や首背部にある後頭部付け根から肩に繋がる僧帽筋等の発達具合により、男性は首が太くなり比して短く見え女性は首が細くなりその分だけ長く見える。
・肩・腕、手
腕においても、胸部の横幅や鎖骨の長さや腕の付け根外腕部の三角筋の発達具合により肩幅に大きく差が生じる(男性は肩幅の方が腰幅より広く女性は肩幅が腰幅と同じくらいになる)。骨の太さや長さや筋肉量の違いにより腕自体の長さも異なり太さにおいては顕著に異なる傾向が強い。手は脂肪量の寡多により男性は骨張ったラインを有しやすく女性は丸みを帯びたラインを有しやすい傾向にある。
・脚、足
脚や足においては、腰部の幅の違いにより正面から見た時の両脚の描くラインが男性はアルファベットのI字型に近く見え女性はY字型に近く見える。脚は腕より長く体重を支える部位である為に自然太くなりやすく筋肉量も脂肪量も多く男性では筋肉が付きやすく太くなり直線的なラインを有しやすく、女性では筋肉量に比する脂肪量により男性に比して細くなりやすく曲線的なラインを有しやすい。この直線的または曲線的なラインを体の他の多くの部位で誇張する事も男女差の表現として有効である。
男女を描き分けるには顔の各パーツや服装等の違いを描く事も仕上げとして大切であるが性差による人体の骨格や筋肉や脂肪から成る体格の違いによる下地を作るだけでもそれだけで男女の描き分けが成り立つくらいの効果がある。
補足
・顔
顔のパーツに関しては、頭部のサイズの違いにより男女同じ大きさと仮定した場合の目のサイズとの対比で男女で目の大きさが違って見える傾向がある(女性はメイクも加えると更に)。顎や鼻の両脇の鼻翼や耳も加齢による発達を伴い特に男性の方が大きくなりやすく、口は顎の形状の違いにより女性は口の横幅が男性より小さく見える傾向にある。加えて筋肉や脂肪の量の違いにより男性は凹凸のある角張った直線的なフェイスライン有しやすく女性は凹凸にも丸みを帯びた曲線的なフェイスラインを有しやすい。