カドミウムレッドとは、
カドミウムイエローの原料でもあるカドミウム金属から作られる硫化カドミウムの焼成や沈殿により生じる金属元素のセレンにより構成される化合物である。セレンの含まれる量が少なければ黄色寄りに多ければ紫寄りの赤色が作られる。合成無機顔料に分類される。
19世紀後半の近代から製造され古くからあるヴァーミリオンに代わる赤色顔料となる。
油絵具のカドミウムレッドオレンジ
色みはどの種類の絵具においても黄色寄りから紫寄りと幅はあれど基本的な色としては朱色に近い高い彩度の鮮やかな黄みの赤色である。白と混ぜると淡いサンゴ色であるコーラルピンクになる。性質としてその不透明性による被覆力による隠蔽力も強く着色力も中程度に強く赤色顔料の中では高い耐光性(=褪色の原因となる光に含まれる紫外線に対する抵抗力の強さの度合い)を持つ。しかし耐候性においては大気中の水分および光に反応しやすく変色しやすい(仕上げに保護ニスを塗布する事やガラス付きの額縁に入れる事で防ぐ事が出来る)。顔料に含まれる硫黄成分により鉛や銅の顔料に対し混色制限がある(近年の製品では精製技術の進展により解除されている物もある)。毒性が強いので取扱いには注意を要する。
油絵具、テンペラ、水彩絵具(透明水彩および不透明水彩)、アクリル絵具で主に使われ毒性や色材としての性質の違い等の理由から他の種類の絵具では使われていない。
使用方法としては、透明水彩絵具で使用する際には不透明性が出やすいので塗る際の濃度に気を付けて使うべきである。その他の種類の絵具では不透明性と鮮やかな高い彩度と高めの明度から明るい面の表面色を塗るのに適し、陰影の部分の暗部における透明色による薄塗りであるグレーズ技法の下地の塗りにも適している。使用及び保管に際しては手等への絵具及び顔料の付着の洗浄および経口しない様にする必要がある。