クロワゾニズムとは、19世紀に印象主義に学んだ後にパリを離れポン・タヴェンで活動を始めた後期印象派の画家ゴーギャン及びその次世代のナビ派(ドニ、ボナール、ヴュイヤールら)の若い画家達により確立され、後のフォービズム(野獣派)やエコール・ド・パリの画家達に多く引き継がれた絵画運動による主義であり技法である。綜合主義とも呼ばれる。
特徴としてはステンドグラスや七宝の仕切り(クロワゾネ)に由来する、原色に近い鮮やかな色の平坦な平塗りの様な色の面とはっきりとした黒または暗い色の輪郭線による縁取りから、その様に呼ばれる。
この線と単純な色面による技法は直近に盛んである前期印象派(モネやルノワールら)や新印象派(スーラやシャニックら)の主義への反動も孕んでいる。印象派の様に印象主義が目的とした束の間の瞬間と光を追い続けて物の形が消失してふわふわした半ば抽象的なものになるのに対してより堅固な絵画を目指す事に主体を置いく為に。古くは物に輪郭線は無いと言ったダヴィンチに代表されるルネサンスから続く古典主義に対してにも自然と意を反していると言える。がしかし古典作品の堅固さを目指しているとも言え、後年のキュビズムの祖ともなる後期印象派の代表的画家でもある晩年のセザンヌと同じ方向性でもある。
クロワゾニズムは印象派が影響を受けた浮世絵の線による輪郭の縁取り及び隈取技法にとても似ている。輪郭線をはっきりと縁取った線を前面に出して単純な色面を鮮やかに引き立てるこの技法は、20世紀の絵画やデザインにも大きく影響を及ぼし現在のポップアートや漫画やアニメにも多く見る事が出来る。