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高い絵の具について

画材屋に行ってみて絵の具を何種類か見てみると分かるのだけど、同じメーカーの同じシリーズの絵具でも色が違うと値段が違う事がある。
この大きさのチューブでこの色の絵具はこんなに高いお値段?と驚くかもしれない。洋画材では一番高い油絵具だと色によっては数百円〜数千円と開きがある。なぜこの様な差が生まれるかと言うと油絵具や水彩絵具等に使用される色の素を練っている糊材(油やアラビアゴム等のメディウム、展色材)のコストの違いもあるが、やはり使用されている色の素つまり顔料の質や量による値段の差が最も大きい。希少性の高い珍しい貴重な顔料を使用していると一万円を軽く超える物も稀にある。

一般的に高い値段の色の絵具には金属等を化学合成させたりして鉱石・鉱物から作られる顔料の物が多い。それらは無機顔料又は合成無機顔料と呼ばれる。天然顔料の部類に入る。これらは希少性も伴って価格が高い事が多い。しかし経年劣化に対する耐久性・安定性は物によって多少差があるがトップクラスに強い。

そして中程度の普通の値段の絵具には有機顔料を使用した物が多い。有機顔料には天然の物と合成の物があり、天然有機顔料は主に植物から採取され合成された物が多い。合成有機顔料は化学元素の物質から合成された化学化合物となる。天然の物は耐久力に劣り不安定な物もあるが合成有機顔料の物は近年の改良を重ね耐久力のとても強い物になっていて無機顔料に比して透明度が高く色が鮮やかな物が多いのが特徴的である。

そして安い部類に入る絵具には土性顔料を使用した物が多い、天然又は合成の土や酸化鉄を使用した物である。最も古くから用いられてきた顔料である。土は供給量も多い事から安いのであろう。ただし耐久性や安定性は無機顔料以上に強く安いというリーズナブルさもある。