絵の具の違いとは?
使い方と特徴について

色々な種類の絵具があるがその違いは何かと言えば、

絵具に使われている展色材すなわちメディウムにある。絵具は、顔料と呼ばれるその色の原料となる素材から作られる色の粉をメディウムという画面に定着させる(または硬化させる)役目を持つ接着剤で練り合わせて絵具は作られる。顔料は基本的にはどの種類の絵具においても原料の違いにより種類は多くあれど性質は大きく変わらず使用されるメディウムによって絵具としての性質が大きく異なってくる。

顔料 + メディウム = 絵具

となる(他に絵具の固さや粘りや光沢や透明度や乾燥速度の調整で樹脂や乾燥剤や界面活性剤等の助剤を少量加える事もある)。

大きく絵具を違いで大別すると、湿式絵具と乾式絵具とに分ける事が出来る。湿式絵具とは何らかの液体を含み湿らされた状態で使用する粘液状の絵具であり、乾式絵具とは水等で溶かずにそのまま使う乾燥させた固形の絵具である。他にも、油性or水性、透明or不透明、光沢or艶消し、速乾or遅乾、耐水性or非耐水性、等の様に絵具により大きく異なってくる。

例)

・油絵具 = 顔料 + 油
絵具をそのまま塗るかテレピンやペトロール等の揮発性溶剤またはペインティングオイル(例えば揮発性溶剤 +乾性油 +樹脂 +乾燥剤の様な組合せ)で溶いて使う。油性。色により透明性または不透明性あり。光沢あり。絵具の中では最も遅い乾燥。乾燥後に耐水性/耐溶剤性あり。

・水彩絵具 = 顔料 + アラビアゴム
水のみで溶いて使う。水性。透明水彩は高い透明性、顔料濃度の多い不透明水彩(ガッシュ)は高い不透明性。光沢無し。。速乾。非耐水性。安価なポスターカラーはアラビアゴムの代わりにデキストリンが使用される。

・アクリル絵具 = 顔料 + アクリル樹脂
絵具をそのままか水(または水+アクリルメディウム)で溶いて使う。水性(油性もある)。色により透明性または不透明性あり。光沢あり。速乾。乾燥後に耐水性/耐溶剤性あり。

・パステル = 顔料 + アラビアゴム(or トラガカントゴム or小麦粉 etc.)
手に持って鉛筆の様に使う。ソフトタイプの物は描いた部分を指で擦って広範囲に拡げたり粉末状に削って指で塗る事も出来る。乾式絵具。どちらかと言えば水性。非耐水性。不透明。光沢無し。定着性低し、固まる事は無い。ニスやガラス等による保護の必要特にあり。

・クレヨン = 顔料 + 油 + ろう(ワックス)
手に持って鉛筆の様に使う。または描いた部分を指で擦って多少拡げる事や揮発性溶剤で湿らす事も可能。乾式絵具。油性。不透明性高し。柔らかな光沢あり。固化しなく定着力弱し。耐水性少々、非対溶剤性。ニスによる保護の必要特にあり。

・鉛筆 = 黒鉛 + 粘土
線を引き重ねたり点を置く事で描画する。または芯を寝かせて広い面積を塗る。または擦る事でぼかす事も出来る。乾式絵具。水性油性の区分特に無し。光沢無し。不透明。非耐水性/非対溶剤性、固化はせず定着力弱し。ニスによる保護の必要特にあり。

・色鉛筆 = 顔料 + ワックス (+油分)
線を引き重ねたり点を置く事で描画する。または芯を寝かせて広い面積を塗る。または擦る事で多少ぼかす事も出来る。乾式絵具。油性タイプと水性タイプあり。透明・不透明の区別は無いが不透明性あり。光沢微少。非耐水性(水性)or非対溶剤性(油性&水性)。固化はせず定着力弱し。ガラス等による保護の必要特にあり。

・テンペラ = 顔料 + 卵(卵黄or卵白or全卵)
水で溶いて使う。水性(卵には油分が含まれる)。不透明。光沢無し。速乾。乾燥後は耐水性/耐溶剤性あり。

・日本画用絵具 = 顔料 + 膠(=動物性蛋白質)
水で溶いて使う。冷水に膨潤、温水に可溶性あり。耐溶剤性あり。水性。光沢無し。不透明。艶消し。速乾。乾燥後は耐溶剤性あり。

・インク = (染料or顔料) + 各種樹脂(シェラックorアクリルorアラビアゴム)
そのままか水で薄めて使用。水性。透明性高、顔料タイプはやや劣る。光沢無し。速乾。樹脂により耐水性か非耐水性。染料タイプは耐光性(紫外線での変色の強度)が弱い。

・マーカー = (染料or顔料) + (有機溶剤or水) + 樹脂
手に持って鉛筆の様に使用。アルコール等の有機溶剤や水による。油性タイプは耐水性あり、水性タイプは非耐水性。透明または不透明。光沢無し。速乾。染料タイプは耐光性が弱い。