スマホを使っていると少なからず中毒や依存にさせる影響を受けていると言われている。
常時気軽に使用出来るスマホ等によって、新しい通知や情報または体験等の刺激を頻繁に脳が受ける事によってドーパミンと呼ばれる脳内物質が分泌される事によるからである。
ドーパミンとは報酬系と呼ばれる快楽物質で、成功体験や熱中できる事そのほか気持ち良い経験を達成しそうな時または達成した時に分泌するようである。
ふつう生活の中ではそれらの成功体験等はロングスパンにたまに起こるもので、それほど頻繁にドーパミンが分泌される事はない。
しかしインターネットの大量な情報という刺激が、スマホというそれらに容易にアクセス出来るツールにより、ドーパミンの頻繁な分泌を可能にしている。
ドーパミンが頻繁に分泌される事によりそれを受容するドーパミン受容体という脳内器官が受容に追いつかず壊れて少なくなっていってしまう。気持ち良さを感じるにはこの受容体がセットで必要のようである。
当然この受容体が少なくなってしまえば、たとえ同じ量の快楽物質が投与されても以前の様な気持ち良さは感じられなく物足りなくなる。耐性ができてしまうのに似ている様に思う。
そしてそれでは満たされず物足りなくてすぐに快楽を欲しくなるので刺激を求めて前より多く利用するようになる。そしてそれを繰り返す無限ループにはまる。
さらにロングスパンで気持ち良さの得られる努力の必要とした行為は快楽物質が容易に得られないので、そういった面倒な事についてはいわゆるやる気が無くなる状態に陥る。
ドーパミン受容体はそういった頻繁な分泌の状態を元に戻して少なくする事により三ヶ月から半年くらいすれば徐々に回復するとも言われる。
なので対処法としてはスマホ断ちをすれば良い。とはいえ現代生活をするという事も考えると、通話とメール確認と調べ物+αくらいで短時間にとどめておくのが良いだろう。
ある海外の有名なIT企業の開発者の話によるとドーパミンを分泌させるにはスロット等のギャンブルの様に当たり外れのあるランダム性があると、より強化されるようである。
例えばメールの通知は確認の度に毎回メールが来ているとは限らない。メールが来てない時は無意識的に少しがっかりはする。しかしその後にメールを確認すると届いていた。その時には脳が嬉しいと感じてかドーパミンを出すようである。これが確認の度に毎回メールが来ていたらただのルーティンになって何の刺激もなく快楽物質は少なくなるだろう。
だからランダム性は効果的なのだろう。
動物を用いた実験でも、ボタンを押すとエサが出る装置においてエサが出る時と出ない時があった方がドーパミンの分泌による脳の活動を活発さが確認されたと報告されているようである。
なのでスマホやネットやアプリ等の開発にはこういった半ば中毒性・依存性を持たせユーザーを引き留めておくテクニックを多くの開発企業が用いているそうだ。
SNS、スマホゲーム、ニュースは特にこの仕組みと相性が良く作られていると思う。
SNSに関してはイイねやフォローや返信等が強い刺激を与えるらしい。予想し得ない又は下手をすると何万人からのリアクション等の強いランダム性もあるし、人間の基本的欲求である承認も満たせる。
スマホゲーム、特に基本無料のゲーム、は課金システムもランダム性は高いし、ゲームもクリアできない状態からクリア出来た時の快感はランダム性の刺激を作り出す様に思う。そこにSNSのソーシャル性が持つランダム性も最近のゲームにはあるのではまりやすい。かつゲーム内アイテムを集めさせるいわゆる周回、期間限定のイベントや期間限定の課金アイテム、毎日配布されるログインボーナス等で一日のうち何度もスマホを使わせる手法もランダム性を助けるその一環なのだろう。
ニュースも予想し得ない刺激的な様々な種類の情報がインターネットという速報性の高いツールによりランダムに矢継ぎ早に入ってくる。快楽に繋がる情報もあるだろうしそうではない情報もネットは玉石混交と言われるほどにありランダム性は非常に高い。読者がそれらにコメント出来るという点ではSNSの特性も最近は兼ね備えている。
これらはいわゆる超常的な刺激と呼ばれている。
人間が今までの歴史で体験した事の無い刺激で人体の構造もその刺激を処理し切れるほどの進化はしていない。
少なくとも生きている間に人間の脳内構造がこの刺激に追いつけるとは思えないので、新しい情報機器や情報の扱いについてよく考えて付き合っていったほうが良いだろう。