油絵具の乾燥を遅らせるには?
・乾きの遅い色を使う
元々油絵具自体絵具の中で最も乾燥が遅いのでそのまま使用しても、乾燥の速い色でも1〜2日そして遅い色なら4〜6日は指触乾燥までは時間がかかるので充分遅く乾く。より遅く乾かさないで描くのなら乾きの遅い色の絵具だけを使う。乾きの速い色は使わない。顔料自体に乾燥を促進させる作用のある鉛白も使わない。
それよりもっと遅らせるなら、
・油分を多くする
乾燥が遅くなる最も大きい要因は乾性油にあるのでその成分を多くすれば必然遅くなる。ただし多くしすぎると絵具の使用性や完成後の保存の際に問題を起こす可能性もある。
・リンシードオイルを使わない
リンシードオイルは乾性油の中で乾くのが速い油なので、それよりも遅い乾性油であるポピーオイル及びサフラワーオイルやウォルナットオイルを使う。ただしそれらはリンシードに比べると白味に近い透明性を持ち色を損なわないが堅牢性に劣る。なので強い耐久性とそれらより若干遅くする事とを伴わせたいならば加熱重合処理された加工乾性油でスタンド(スタンドリンシード・スタンドポピー)オイルを使う。
・乾燥促進剤、樹脂、揮発性油を使わない
乾燥促進剤は乾燥を速めるので当然の事。
樹脂はヴェネチアテレピン以外は乾燥を速める。樹脂を溶かし液状化させてる揮発性油分が揮発し固化するにつれて皮膜の表面から乾燥を速める為。
揮発性油は絵具及び乾性油に混ぜる事により相対的に油分を減らす事と、乾性油は液状とはいえ多少の粘稠性があるものの揮発性油を加えるとその粘稠性を失い揮発性油の水の様なさらさらとした液状に近づき吸収性のある下地に油分が多少なりとも吸収されて油分が少なくなり乾燥が速まる為。
市販の多くの調合油は普通の描画には適切に調合されているがこれらが含まれているので、より遅くする為には使わない方が良い事もある。
・厚く塗る
薄く塗らない。厚く塗れば油分も多くなるし内部まで渇くのに相当時間がかかる。倍の厚さに塗れば四倍遅く乾く。
・寒い環境で描く
乾性油は酸素及び熱により酸化重合を起こすつまり乾燥するので、気温の低い寒い場所では乾燥が遅れる。10℃低ければ倍の時間遅く乾く。