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日本人のエリクサー病とは

エリクサーとは世界各地に伝わる古代の錬金術における賢者の石と種を同一とするとされる不老不死やあらゆる病を治す万能な霊薬として知られる伝説的な代物である(古代の化学にあたる錬金術により作られた元素の一つから成るとされる)。

近年ではテレビゲームのロールプレイングゲーム(主にファイナルファンタジーシリーズにおいて)内のあらゆるステータス異常やHP(ヒットポイント=体力)やMP(マジックポイント=魔力)を全回復させるアイテムの代名詞としてある程度ゲームに精通した事のある者にとっては既知の処となっている。

ただこのアイテムはその回復効果が最上位にあり入手難度も高い事から強力な敵との戦闘までは温存させる事が多くなる(強力な敵が出現するゲーム展開の後半戦ではアイテムの他に回復の魔法や能力もレベルアップに伴い使用出来る様になる事もあり)。そして結局最後の戦闘でもほとんど使用せずに余らせゲームクリアという事もゲーマーの間ではよくある出来事として共通認識となっている。

この行動形態の事を俗に"エリクサー病"とゲーム界隈では名付けられている。

そしてこの事は日本人の性格をよく表しているとも言え、また日本人だから起きやすい事象なのかと考えられる。国民的気質として外国からは日本人は臆病で優柔不断で保守的(良く言えば温和で平和主義)と見られているとはよく聞く話ではある。奥手で消極的、起業等リスクのある事には挑戦をしない等に象徴される事例は確かに多い。実際の生活において分かりやすくエリクサーに当てはまる事としては老後の不安の為の貯蓄としてあり貯金が最早趣味の域に達してしまい結局使用せずに他界してしまうというケースが最たる症例であろう(まず借金をして買い物をする文化が根付いているアメリカとは対象的な)。 この性格は日本人にセロトニンの作用による不安遺伝子(セロトニントランスポーター遺伝子のSS型)を多く持つ人が多い事に起因しているとされ、エリクサー病に大いに関係していると考えられる。とはいえ堅実に物事を進める慎重さを持っているという事でもあるので決して卑下するものでは無い(ある一定の大胆さは欲しいとしても)。

ただこのエリクサー病は何においても感じてしまう不安を解消する為に敢えて使わない事が選択され目的とされている言わば安心を得る為の保険の様なものである事は間違い無い。切り札は切らないからこそ切り札(ラストカード)なのだ、という有名な言葉にある様に。

であるのでその慎重な人はエリクサーを使う時は更に最上位のラストエリクサーをきっと用意している事であろう。そしてその時にはきっとそれも使われる事無くゲームをクリアしてしまうのだろとして。