油彩画における速乾メディウムは現代では主に油由来のアルキド樹脂や石油由来のアクリル樹脂をペトロール等の揮発性油に溶かした合成樹脂による物となる。昔からあるものとしてパンドルの様にダンマル樹脂等の天然樹脂をテレピン油で溶かし調整に少量の乾性油や乾燥剤を加えた物がある。
油絵具はその含まれる油により乾燥が遅くなり油の乾燥を人為的に速めようと乾燥剤を多用すると乾燥のメカニズムが急激なものとなり扱いが大変難しくなるので揮発性油の揮発によりすぐに乾く樹脂を主な成分としたメディウムが多く用いられている。
用途としては、
すぐに仕上げなければいけない納期の案件に用いられる。アラプリマで一気描きするにしても絵具を何層にも重ねるにしても。
速い乾燥を求められる下地作りにも土台の塗りのメディウムとして用いられる。乾性油を加えず速乾メディウムだけでの下処理でも油分が少なく上に乗せる絵具に対するファットオーバーリーン(上は多め下は少なめ)の法則にも適う。
上層の仕上げ塗りのグレーズ技法でも樹脂自体に弾力性と剛性のある物を用いれば指触乾燥〜半年以降に長期に続く下層の絵具の乾燥の収縮に耐え得る皮膜の層を作る事が出来る。その場合は少々乾性油を加えた方が描きやすいかもしれないが。
使い方としては、
液状の物は通常の画用液と同じく油壺に入れ筆を浸しパレット上で色の混色の際に絵具に混ぜ込む。硬練りのチューブタイプの物は同じくパレット上に出し筆かパレットナイフで絵具に練り込む。
通常の油絵具より速く乾くので製作後はもちろん乾く速さによっては製作中でも筆の洗浄はその都度揮発性油で軽くでも良いので絵具を落としておく。そして製作後は念入りに絵具を落とす。