キャンバスやパネル板に絵を描く時に色を塗っているとキャンバスや板の目が画面に残る。それはそれでテクスチャ・マチエールとして味があるので良いが気になる人もいるかもしれないし古典技法の為に消したい人もいるかもしれない。
とはいえ絵具を描き重ねていると層が積み重なり目は徐々に消えていく、油絵具の様な痩せが少ない絵具で薄過ぎない塗りでは特に。パネル板の方が元々平滑なので消えやすくというか目立ちづらくはある。
しかし制作の初めから下地を作る段階から目を消しておくと塗りの多くの重ねを必要とせず容易く均一に平坦で平滑なつるつるとした画面を作る事が出来る。
金属やガラス等の元々平滑な支持体に描く事も可能ではあるが上に乗せる絵具層の付着が比較的弱いので剥落の恐れもあるのでキャンバスや板や紙などの多孔質な表面の支持体を使用すべきである。それでも塗布したいならば専用のプライマーを塗布し絵具の接着を可能にする方が良い。
キャンバスや板で画面を平滑にする方法としては、ジェッソ(石膏+膠、又は白亜+膠、又はアクリル樹脂+白亜+酸化チタン、等)や油彩地としてアルキド樹脂+白色顔料(+乾性油)の下地剤を何回も塗布し、塗布層が乾く度にサンドペーパーで画面の表面を平坦に均一に均す(キャンバスの場合はもちろん荒目の画布より細めの画布の方が均しやすい)。サンドペーパーをかける事により表面にざらつきを与え次に乗せる絵具の層が表面に出来た孔(小さい穴)に食いつきやすくなり画面への付着をより強固にする。その際の下地剤は油性の物より水性の物の方が好ましい。それはさほど敏感になる必要もないが油性であると表面が平滑になりやすく上に乗せる層が多少滑り乗りづらくなる為である。アクリル絵具を乗せる場合は顕著にその傾向が強くなるので油性の下地剤は避けるべきである。
(主に油性下地の)下地剤の白色顔料にシルバーホワイト(鉛白)を使用している場合は呼吸器を通して鉛毒を患う恐れがあるのでサンドペーパーをかける際に出る粉塵に気を付ける事。