ジェッソとは元々イタリア語で石膏を意味し、古代から木のパネルやキャンバス画布やその他の支持体を油絵やテンペラ画等の絵を描く下地や金箔を貼るのに適した下地にする為の塗料に石膏を用いた事に由来して今では絵画の水性下地塗料の事を指してジェッソと呼ぶ様になる。
古典的で一般的なジェッソとは主に採掘された岩塩等に共に含まれる硫酸カルシウムつまり石膏を粉砕焼成し等量のにかわ液(膠1:水15の割合)で溶いてジェッソとして用いる。白色度を増す為に白亜や亜鉛華等の白色顔料を石膏に少量加えていた様でもある。
現代では石膏の代わりにチタニウムホワイトと炭酸カルシウム系の白色顔料(白亜、胡粉、ムードン等)を用い、膠の代わりにアクリル樹脂溶液を用いるいわゆるアクリルジェッソが主流である。中には界面活性剤も用いてアクリル樹脂溶液に乾性油を中和乳濁させた半吸収性下地を作るのジェッソも売られている。
ジェッソは、素材の色そのままの支持体の下地を白色等の様な描きやすい色にする事と、塗布して乾燥すると表面に出来る吸収性の高いざらざらした孔(小さい穴)に上に塗る絵具が吸着される事で定着性を助ける事と、上に塗る絵具が支持体に染み込まない様にする目止め(サイジング)の役目を果たす。同時に顔料の粒子の大きさやジェッソのメディウムの硬軟等を変える事により表面のテクスチャを好みのものに変える事が出来る。顔料やメディウムに化学反応を起こさない不活性な顔料や素材、例えば貝殻や石を砕いた小さい粒等、を混ぜる事でもっと大きくマチエールを変える事も可能となる。
もちろん白色ジェッソやカラージェッソは水性の絵具としても使用する事が出来てメディウム量が少ないので耐久性はやや低いつや消しの表面になる。