油絵やアクリル画のグレーズ(グレージング)技法

グレーズとは釉薬の上塗りのような透明な薄塗りの事である。
油絵やアクリル画では、下地である程度形を描写した後に薄い透明な塗りで色を染め付けるように絵の陰影の彫りを深めていく色付けの技法である。

塗られた部分は光を食うので影の部分に使われる。陰影部は面色の様になるので向いているのだろう。光部を描いてから陰影部を描いていく手順になる。
写実的な絵画でよく使われる技法でヨーロッパの古典絵画の頃から使われていた。特に近景の、人物や主役・準主役級のモチーフに用いられる。抽象的な絵にも用いられる。

方法としては、
透明かつ定着性の良いメディウムを多く絵具に混ぜて、透明な薄塗りをする。もともと透明なまたは半透明な色の絵具を用いる。不透明な色だとそれはスカンブルという技法になる。柔らかい含みの良い筆が向いている。

メリットとしては単色の塗り重ねでも色に深みが出る。異なる色を重ねても重色混色による多彩な深みが出る。
下層が光や有害な空気などに弱い場合、その影響を受けづらい色を塗った上層により保護され被害を抑える事もある。
アラプリマの様にいっきに描く描き方よりゆっくりと作業を進められる、というか乾燥を待ちながらになるのでゆっくり進めざるを得ない。
かなりはっきりした立体性を出す事が出来る。
色同士を直接ブレンディングしただけのグラデーションとは異なるボカシ具合になる。

デメリットは、技法の特徴や使い方や絵の出来具合いに不便さや違和感などを感じるかどうかになると思う。あと初心者にはいっきに描く描き方よりも敷居が高い。(教えずともあまり技法とは意識せずに自然に使ってるとは思うけど)