~絵や興味ある事について書いてます~
header image

絵具の耐光性について

絵具の耐光性とは褪色すなわち色を褪せさせる光の照射に対する強度である。

主に光に含まれる紫外線に依る処が大きい。この事から屋内よりも屋外ではさらに強く影響する。

その事から耐光性が強い顔料を含む絵具であるほど褪色しにくくなる。
(ただし外部要因として長期に渡る絵の保存環境における光の当たり方や顔料を覆う展色材(メディウム)の量の寡多や保護膜の層となる仕上げニスの塗布の有無にも大きく依る。これらは絵具の種類により含有する展色材または顔料の量や種類そして仕上げニスを施すタイプの絵具であるかにもより大きく変わる。そして保存環境も光が褪色の最も大きい原因なので直射日光を避ける事や額装する額縁の表面にアクリル板やガラス等を嵌める事で大きく変わる)

顔料の種類によっても耐光性は異なる。
この耐光性は各製造メーカーにおける独自の紫外線の照射による色の変化の度合いや要する時間の測定結果や近年米国における紫外線の照射検査による標準的な統一規格によりランク付けされ示される。
その中では、天然の無機顔料(土や獣骨等による顔料)が特に耐光性の強い物が多く(オーカー・シェンナ・アンバー等の土性系顔料や黒の炭素系顔料等)、比して合成の無機顔料(金属や鉱石等を元に合成した顔料)も同様に耐光性の強い物が多い(カドミウム系・コバルト系等の多種に渡る金属系顔料)。
逆に天然の有機顔料(虫や植物等による染料質の顔料)は上記の無機顔料に比して耐光性に劣る物が多い(アリザリンやコチニール等のレーキ系顔料等)。
また近年開発された合成の有機顔料(化学元素の合成による顔料)も上記の無機顔料よりは耐光性に劣るものの科学技術の進展により工業用塗料にも採用されるほど耐光性の高い種類の顔料も多くなっている(フタロシアニン系・アゾ系・キナクリドン系等の合成有機顔料)。
染料や蛍光顔料を用いた絵具はさらに光に弱い耐光性の低い絵具が多い。

国内有名絵具メーカーの説明によると、短時間の照射実験の評価を耐光性の高い・比較的高い・普通・低いの様な四段階に分けた時の通常の室内における色の変化の年限に置き換えて換算して、油絵具(及び同等の堅牢性を持つであろうアクリル絵具)に関しては60-180年・30-60年・10-30年・10年未満としている。水彩絵具に関しては色の変化が感じられるのが10年以上・5-10年・1-5年・1年未満としている。

紫外線の他に耐光性を低くする要因としては白色絵具を混ぜる事でも起こるとされる。その理由については言及されていないが白が化学的に影響を及ぼすか検査する色の顔料の濃度が低くなる為かのどちらかで個人的には恐らくは後者であると推測する(または不透明色にした事で透明色の様に光が透過せず表面反射のみになり光の影響が表面に顕在化しやすくなる為か)。故に耐光性の照射検査では検査する色の絵具を白で薄めて行う検査方法もある。
この点に関して保存の観点から言えば絵の制作に際しては(単一顔料による)チューブから捻り出した又は手練りした絵具でなるべく混色せずに(特に白色とは)そのまま描くゴッホやゴーギャンやセザンヌらの後期印象派・スーラやシャニックらの点描技法の新印象派・マティスらの野獣派(フォービズム)及び表現派の技法、または混色せず透明な薄い平塗りの絵具の層を下の絵具層が乾燥してから重ねる事で透過反射する色光を重色混色していく15世紀北ヨーロッパの画家ヤン・ファン・エイクに代表されるフランドル絵画から続く古典的な技法であるグラシ(グレージング)の技法が理に適っていると考える。

※カテゴリ別一覧より関連記事もございますのでどうぞ↓