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つや消しの仕組み

私はつや消しの絵を描くのを好む。

しかしツヤの出ない絵具は芸術的にはきれいな発色やマチエールを出せるので好きなのだが、物理的に弱いので、ふだんは耐久性も付与出来る絵具を使用している。

そうなるとやはり基本的には耐久性のある絵具はつやが出る物ばかりなので、その絵具につや消しのメディウムを加えて使用するかつや消しのニスを使用する事になる。

その際それらメディウムやニスの成分表記を見るとメディウムとその溶剤、そしてシリカとある。たまにロウ(蝋)やワックスの物もあるが。

そのシリカとはおそらく顔料のシリカのようで、シリカとは二酸化ケイ素で石英とも呼ばれる。充填剤や増量材としてよく使われる。化学的反応を起こさない不活性顔料である。アルカリには弱いが熱にも酸にも強い。絵具になると強い透明感を出す。

つやのある画面というのは表面が平滑であると反射しやすくなり、よりつやが強調される。真っ直ぐ入ってきた光がそのまま反射されて目に入ってくるイメージ。
逆に画面がすりガラスのようにざらざらだと光も乱反射され反射も少なくなる。四方八方他方向に光が散っていくからその面は光って見えない。
メディウムが少なく顔料が剥き出しになると又はそういう絵具で描くと顔料の凹凸ですりガラスのような状態になる。

どうやらシリカのその顔料の粒が、画面を覆ったニスやつや消しメディウムを含んだ絵具上に、そのざらざらを作る役目を果たしているようだ。

ロウやワックスはそれ自体が柔らかいマットな質感を持っているがその柔らかさから画面が汚れやすいので現代ではシリカのほうがよく採用されているのだろう。