知覚遠近法とは、透視図法による一般的な遠近法とは異なり実際の知覚による見え方に即した遠近法の事である。従来の遠近法は知覚遠近法に対し、その勃興した時期のルネサンスに倣いルネサンス遠近法とも言う。1981年にラウシェンバッハにより提唱される。
知覚遠近法による見え方の特徴としては、
・遠くの物、例えば山などが大きく知覚される(写真に撮った山より実際に見た山の方が雄大に見える様に感じられる様に)。
・従来の遠近法ルネサンス遠近法では手前ほど大きく知覚されるが、知覚遠近法では手前は少なからずルネサンス遠近法よりその面積が小さく知覚される。
それらは遠近法において消失点から放射状に伸びる対象に沿った線が、ルネサンス遠近法では直線なのに対し、知覚遠近法では消失点近くでは従来のルネサンス遠近法の様に直線に近いが消失点から離れると曲線になる為に起こる。
これは人間の眼が従来の遠近法で想定されるカメラのレンズの様な単眼視でなく双眼視である事に由来する。
あとこれは個人的な仮説だが、知覚される視像が映し出される人間の眼の網膜が球体に近い為ではないかと考える。カメラの光を焼き付けるフイルムが平面であるのに対し。
絵を描く場合でも実際にルネサンス遠近法にしっかり則って描いてみると、わりとかちっとした普通に写真で撮った様な硬い絵になりやすい。
知覚遠近法で書くとそれより若干柔らかい印象になり人間の眼で見た視覚に近くなる。
一点遠近法では消失点を画面の中心に置くがその点を一つにするのでなく二つか三つくらい画面の中心に設定して線を伸ばしてやると人間の自然な眼の見え方に近づく。とある絵の業界では1.5点透視図法とも呼ばれてるらしい。
二点透視図や三点透視図でもあまり消失点を近づけすぎず可能な限り離してやると(よほど遠近法が過度にかかる様な見方をしない限りにおいて)自然に見えやすい。