幽遊白書のキャラクター(幽助・桑原・蔵馬・飛影)をハンター x ハンターの念能力の系統別に分けてみたらどうなるか及び両作品のキャラクター(ゴン・キルア・クラピカ・レオリオ)との類似性についての考察

1990年代に大ブレイクした漫画家・冨樫義博著の漫画および同著原作によるアニメ作品である「幽☆遊☆白書」における主要キャラクターである浦飯幽助(以下幽助と呼ぶ)・桑原和真(以下桑原と呼ぶ)・蔵馬・飛影の四人がもし同じく同著者による2000年代から現在連載中の大ヒット漫画およびアニメの「HUNTERxHUNTER」における核となる設定の一つの特殊能力である念能力において六種類ある能力の系統別分類をした場合にどの系統の能力になるのかは両作品を産み出した作者の作品における世界観の根底に共通して近しいものを感じてしまうもしくは一ファンの読者としては一度は考えてしまうのではないだろうか。

今この記事を読んでくださっている方々にとっては釈迦に説法かもしれないが「HUNTER x HUNTER」における念能力および系統別分類をおさらいしてみると、念能力とは人体に誰しもが持つオーラを高め操り超人的・超能力的な力を発現させる能力である。この能力は変化系・強化系・放出系・操作系・特質系・具現化系の六種類に別れる。これら系統のうち個々人で生まれ持つ系統はどれか一つの得意な系統に偏るのが基本であり特質系を除いた相性図の両隣りの系統も習得しやすい。特質系は特別な血筋等による先天的な系統であるが後天的に別の系統から特質系になる事も稀にありその可能性が高いのは相性図の両隣りの操作系と具現化系と説明されている。作品内ではこの系統の判別は能力者が使う能力の性質や水の入ったグラスに念能力の基礎である四大行である纏・絶・錬・発の発(オーラを発現させる事)を行う事で水がどの様になるか(増えたり変化したり動いたり等)で判別する水見式という判別方法や主人公達の敵であり時に共に行動したりするトリックスターな作品内においても最強格の格闘術・念能力の使い手のキャラクターである奇術師ヒソカは独自の経験における見解により対象となる相手の性格から念能力の系統を判別していて他のキャラクター達も意外と当たっていると述べるシーンもある。

念能力の系統図
(念能力の系統図)

(ヒソカによる系統別の性格の傾向)
変化系:嘘つき・気まぐれ
強化系:単純・一途
放出系:短気・大雑把
操作系:理屈屋
特質系:個人主義者・カリスマ性がある
具現化系:神経質

(各系統の特徴)
・変化系ではオーラを変化させ主に性質や形状を様々に変えている。
・強化系では何かを強化させる事が出来て自身の身体能力を向上させる事も可能で一番戦闘に向いた系統である(基本的な念能力の習得でどの系統においても身体能力は超人的になるがその中でも特に)。
・放出系は体外にオーラを飛ばしたり届かせたりする。
・操作系は自身の肉体も含め他人や物を操る力を持つ。
・具現化系はオーラを形ある何かに実体化する事が出来る(特殊な能力を付与する事もあるが神がかった存在し得ない様な物は出来ないらしいが…)。
・特質系は他の系統のどれにも属さない例外的な能力を総称して指す様である。
これら系統を能力者たちは単独に極める事もあるし得意な系統と他の系統を組み合わせて能力として使用されている(相性の良い両隣の系統でないと習得値から効率的で無いともある)。

幽遊白書とHunter x Hunterの念能力を重ねて見たくなってしまう要素に両作品ともに主人公と仲間が四人組のパーティーであり各キャラクターの役柄に類似性がとても高い事にあると思う。個人的にはHunter x Hunter連載開始時にとても前作である幽遊白書(その間に連載されたレベルEも神作ではあるが半ばSFオムニバス形式で作風が異なるので取り敢えず置いておくとして)を彷彿させる設定を感じ胸熱だった記憶がある。
両作品の主人公と仲間の主要キャラの役柄の立ち位置で比較しながら幽遊白書のキャラクターの面々が念能力のどの系統区分に属するのか(世界とか設定が全く異なるのだろうけど一ファンとして妄想するなら)考察するなら、

・幽助
Hunter x Hunterの主人公であるゴンは強化系を得意とし身体能力を高める事に特化していて肉弾戦による格闘を主な念能力による戦闘スタイルとする(両隣の相性の良い系統である変化系や放出系の技も鍛錬中ではあるが併せ持つ)。純粋で活発で自然が溢れる環境で育った野性味も併せ持つ性格の少年である。生まれ持った資質に加え後天的な環境も能力の系統の形成に影響を与える様でその表象の一つである性格にも先に挙げたヒソカによる性格別の能力の系統判断から強化系は単純・一途な性格である傾向に描かれる事が多くゴンも例外に漏れずこの性格に当てはまる。
幽遊白書の主人公である幽助はどうであろうか。幽遊白書の場合は霊気や妖気といったパワーを源に各能力を使用する(人体に内在するという点では近しいし同じなのかもしれない)。彼は霊丸という霊気の弾丸を指や掌から発射する能力を主に使用する。飛び道具であるので念能力の系統に当てはめると放出系が当てはまる。と同時に霊丸をフィニッシュ技としつつ素手による格闘も得意とするので強化系も放出系と同レベルに当てはまる様に見受けられる(暗黒武術会編最終戦にて筋肉強化に特化したHunter x Hunterのウボォーギンの様な強化系の権化の様な妖怪戸愚呂・弟との戦いを制している事からも)。念能力の系統の相性の良い両隣りの変化系や操作系の能力を使用している描写は作中には見られないので強化系-放出系に特化しているのだろう。性格別系統分類的には強化系の単純・一途さと放出の短気・大雑把(よく言えば大らか・器が大きい)が強く見受けられるキャラクターである。先祖に魔界の王クラスの妖魔が存在しその血筋により妖気をパワーとする魔族に覚醒した後の戦闘スタイルを見ても特に変化は無い様に見える。

・桑原
次に桑原であるが自分の霊気を剣の形状のオーラに変えて斬撃する武器とする能力を使用する。念能力の系統を当てはめてみるなら具現化系が近いものの剣の切れ味や大まかな外形は具現化しているが見た目の剣の材質はオーラそのままで実物の剣の持つ金属質の様なテクスチャまでは再現しておらず霊気というオーラを鋭い切れ味に変化させているという見方をすれば具現化系と変化系の中間的な能力とも考えられなくも無い。通う中学校の番長である事や戦闘での格闘によるタフネスや素手での戦闘力から強化系的でもあるし稀に霊剣の長さを伸ばして戦う場面もあるので放出系の素養も見られる。ただ剣の長さを伸ばす使い方は戦いの最後の切り札に使っている様に瞬間的で長時間は持続出来ない様な描写もあるのでそこまで放出系の資質は無い様にも見れる。作品が進む中で魔界への入り口が開き始めた事と怒りにより次元を切り裂く神がかった?特殊能力を持つ次元刀に霊剣を変化させた事は特筆すべきである(特質系への覚醒か?)。性格的には大雑把・短気または単純一途な面も見れるが細かい配慮や気配りをしたりとムードメーカーでもあり時々ナイーブで神経質な一面も見せる事もありいざと言う場面で臨機応変に嘘をついたりも出来る。小心という危険察知にもその方面の霊感に長ける事から本質的には具現化系の性格の神経質なのだろうか。
役柄的な立ち位置としてはHunter x Hunterにおける普段はおちゃらけているが頼りになる器の広い兄貴的存在(二十代後半の風貌に見えなくも無いが18才)であるレオリオに近いキャラクターである(使用したパンチを遠くに瞬間移動させる?能力から放出系?と作品内で推定されている)。

・蔵馬
そして元々は魔界の大盗賊の頭領であり妖狐であり人間界に逃れる為に人間の母胎の胎児に取り憑き人間として転生した蔵馬は(持ち込みなのか召喚したのか人間界&魔界の)植物を武器として操り知的に戦略的に戦うタイプである。念能力での系統別区分に当てはめれば植物を操るという事で操作系が得意な系統と見る事も出来る。ただ加えて急激に植物を成長させて使用したりもするので強化させているとも考えられなくも無い。仮に召喚しているのだとしたら具現化して操作しているとも考えられる(小さい植物の種や葉は常に携帯出来るとしても長い物や大きい物等は)。妖具をきっかけに元の姿の妖狐に戻れる様になり大きな妖力を取り戻したが戦闘スタイルは魔界植物の召喚が強力になり格闘能力が上がった様に見る事の出来る描写はあるが大きくは変わった様には見えない。元々の妖狐の頃の冷酷さと人間に転生し母親から受けた愛情及び仲間との出会いにより優しく穏やかでもあり好戦的な面も併せ持つ深謀遠慮に長けた知略家でクールなキャラクターである。というキャラクター性が持つ性格から念能力の性格別系統判断で見た時に操作系の理屈屋・マイペースはよく当てはまる様に思える。性格的には具現化系の神経質および特質系の個人主義者カリスマ性があるというのも近い様に思える。
Hunter x Hunterで似た立ち位置のキャラクターでは一族の仇である盗賊団に復讐心を燃やす知略的でクールな性格の青年(レオリオよりは年下)のクラピカが性格的にも近しい(妖狐であった頃を含めた年齢差を考えると蔵馬の方が経験した修羅場の数だけタフネスなクールさを持っている様にも感じるが)。念能力の系統は具現化系で鎖を具現化し普段は手や指に巻き(操作系を装う為)各指毎の鎖に特殊能力を付与して(操作系の力で動かして?)使用している。加えてクラピカの一族であるクルタ族の身体的特徴として怒り等で感情が昂ぶると瞳が赤く染まる"緋の眼"になると特質系に念能力の系統が変わり(クルタ族に共通するのかクラピカだけなのか?)全ての系統の能力を系統毎の相性関係無く100%引き出せる様になる。性格は操作系の理屈屋・マイペースという面もゴンら仲間といる時など穏やかな通常時には一面としては感じなくも無いが具現化系の神経質的で繊細さや脆さも復讐の為に生きてきた為か感じさせる。

・飛影
最後に、元々は邪悪な妖怪盗賊として蔵馬や他の妖怪仲間と行動し自身らを霊界探偵の任務により討伐しに来た敵である幽助との戦いを経て徐々に幽助を始めとする人間への見方が変わり幽助や桑原や蔵馬らと行動を共にする様になった飛影は蔵馬よりも冷酷(飛影に言わせると蔵馬の方がより…)で好戦的なタイプであり時折り仲間や唯一の家族である妹には素直にでは無いが優しさを見せるいわゆるツンデレなキャラでもある。とはいえ馴れ合いは好まず幽助を常に好敵手としている。戦闘スタイルとしては小柄な自身に合わせたかの様な中程度の長さの日本刀の様な剣を携帯し剣技を多く用いる。または拳技による肉弾戦でも戦う事も多い。初期には邪眼(妖力の増幅装置?)という額の第三の目による妖術も使用していた。その戦いの際に魔界の炎を召喚して作り出し拳や剣に纏わせ威力を増す邪王炎殺拳という術式?を使う。その最大の奥義が多くの妖気と肉体へのダメージという代償を払い魔界の炎による強大なエネルギー波である黒龍を相手に放つ(または自身に放ちそのエネルギーを取り込み自身を強化もする)邪王炎殺黒龍波を切り札の技として使う。飛影を念能力の系統に当てはめてみると自身の妖気というオーラを魔界の炎を形として具現化しているというよりオーラの性質を変化させて再現しているとみた方が近い様に考えられる(炎殺拳や炎殺剣の様に拳や剣にオーラの様にまとわせる事からして)。肉弾戦による格闘も得意な事や黒龍波の様な飛び技および龍の造形の生成から念能力の系統の変化系の相性の良い両隣の系統の強化系や具現化系も併せて使用している様にも考えられる。黒龍波を放つ為に代償とする多大なエネルギー・身体へのダメージや限られた回数制限から放出系は他の得意な系統と比較するとやや使用に要するキャパシティ(ヒソカの言う所の相性の悪い系統同士の習得はメモリが足りなくなるの様な)に劣るのかもしれない。と考えると変化系と強化系を中心に放出系や具現化系も器用に使いこなすタイプなのかとも考えられる。
Hunter x Hunterにおける役柄の立ち位置はゴンと同い年で友人の世界的に有名な暗殺一家で育ったキルアが似ている。暗殺者の冷静・冷酷な一面と少年らしい弱さや無邪気さも併せ持ち長命な妖怪である飛影とはその年の功による成熟度は少年と大人の態度くらいには異なるもののよく似ている。キルアは変化系で主にオーラを念能力により電気や電撃に性質を変化させその性質を様々に応用して戦闘等で使用する点も似ている様に考えられる。性格的に両者とも変化系の嘘つき・気まぐれな所はよく当てはまり似ている。

以上の一ファンとしての考察(妄想)をまとめると、

幽助は強化系寄りの放出系、
桑原を具現化系寄りの変化系、
蔵馬を強化系を併用する操作系、
飛影を強化系寄りの他の操作系以外の系統も器用に使いこなす変化系、

としてみる。

(作品の解釈や設定等に誤字誤認が御座いましたら申し訳ありませんでした。異論も大いに御座いますでしょうが一ファンの考察として生温かくお読み下さい。ありがとうございました)