dorayakiBlog

「下手も絵のうち」熊谷守一の言葉から考える子どもや初期の絵の持つ魅力について

下手も絵のうちという本で、下手も絵のうちという画家・熊谷守一の言葉がある。若い頃熊谷氏自身はエリートだったが、美術教育から学んだ彼自身や周りの洒脱な写実技法に真実つまりリアリティを感じ得なかったから出た言葉のように思える。氏は仙人や世捨て人のように生きて暮らしていたらしいので世俗から離れ孤独に自身を見つめた末に至った境地なのだろう。

ややもすると、下手でも良いや、と甘える為の言葉にも聞こえそうだが、熊谷氏も研鑽を積まれた結果むしろ飾らない描き方の中にこそ真実があると感じたからこその言葉なのだろう。

上手い絵は良い絵である事も多いのだが必ずしもそうであるとは限らない。上手くて良い絵なら良いのかもしれないが下手?でも良い絵というのは存在する。そうだとすると絵にとって技術自体は主ではないと言える。だからと言って手を抜いた作品が良いとも思えない。想いが強くしっかりと表現されてる絵は何かを訴えかけるような良い絵になり得るのだと思う。だいたいそういう作品は一生懸命作られている。子どもの絵や初期に描いた絵の方が技術的に劣るとはいえ魅力的だったり何か力があるような絵だったりするのは汚れなき強い純粋な想いが込められていたからだと考える。

だから下手でも良いし技術を磨いて上手くなっても良いけどその想い例えば何を描きたかったのかとかなぜ描き始めたのかみたいな事を大切にしたら良いのではないかと思う。
技術を学び技術に溺れる事なく。