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油絵の黄変を防ぐ

油絵は時が経過すると画面が黄ばんでくる事がある。これは油絵具に含まれる油分が黄化をもたらす。少なからず油分は必ず黄化するので完全には防げないが、

これを極力防ぐには、

・暗所に置かない
部屋の日陰程度の暗所なら日陰と言っても周囲からの反射で光は少なからず入ってくるので問題は無いが、最もまずいのは窓も灯も無い密室や蓋を閉じた箱の中等の光が全く差し込まない様な場所に置く事で黄変は急激に進む。黄変を防ぐには直射日光の当たらない(長時間陽に当てると褪色するので)適度に光が差し込む場所で保管する事が肝要である。
もしやむを得ず暗所に保管してしまい黄変してしまったら再び陽の当たる場所に置くと徐々に完全にでは無いしろ元に戻っていく。その場合は短時間であるならば直射日光に晒す事も良い。

もう一つ考えられる黄変の要因を防ぐには、

・黄変度の強い油を使用しない
油絵具に使用される油すなわち乾性油には使用される原材料が数種類有り、その中の亜麻仁油(リンシードオイル)は乾燥は速く堅牢性も高いが最も黄変する度合いが高い。なのでリンシードオイルは上塗りには使用せず下塗りや黄変の影響の少ない暗い色または合わせて乾燥の極めて遅い色に混ぜて使用すると良い。そして乾燥は遅いが元の油の色が薄く黄変度合いの少ないケシ油(ポピーオイル)や黄変が進みづらい加熱重合油(スタンドオイル、サンシックンドオイル)を使用すると良い。スタンドオイルが最も黄変が少ない。
そしてもちろん濃い色の乾性油を使用すると黄変とは関係なくその油の色が影響し黄色っぽく又は茶色っぽくはなる。
必ず乾性油は少なからず黄化するのと元の油の色で必然的に多少は黄色っぽくはなるので、使う油の量を絵具の耐久性を失わない程度に抑える事でも黄変を減らす事が出来る、逆を言えば油を使い過ぎない事も大切である。

例外として顔料自体が黄化の性質を持つ色の絵具もある。シルバーホワイトの鉛白は顔料(+油)それ自体で黄変する性質を持つ。特に暗所では殊更に。なので暖かみのある白色として使うか下塗りに使用するのが良い。