絵を描くには筆を用いるのが一般的だが、油絵やアクリル画ではペインティングナイフも用いられる。
ペインティングナイフは左官塗りのこての様な横から見た時にZの様な形をしていて持った時に画面と手の距離が少し空くので手を汚さずに塗りやすい。
・ペインティングナイフは素早く広い面積を塗る事が可能であり細かいところも刃先で絵具を置く事も出来る。
・パレット上での混色も混色をする度に布や紙でナイフから色を拭えば簡単であり、画面上でも塗りながらにして色同士を混ぜられる点は筆よりも一枚上手である。
・塗った画面はペインティングナイフによるタッチが滑らかである為に画面全体も滑らかな絵面になりやすい。色面が荒々しくもよく融解している様な感じになる。
・様々な大きさや形状がありナイフを変えることによりタッチも様々に変えられる。
・ナイフで厚く盛り上げた部分を乾いた後に削りる事もでき、描き直したり削ったゴツゴツした凹凸のタッチも作れる(削り専用のスクレーパーナイフの方が削りやすいが)。
の様な特徴がある。
パレットを掃除する為のパレットナイフという物もあるが形状がこての様になっていないだけでこれも描画に使用出来る。一本で描画も掃除も兼用出来る。
アクリル画と油絵では乾燥速度に差があるので使い方も少し違ってくるので、乾燥速度に合わせた描き方をするか、向いている絵具を選択する事になる。
注意する点としては、
・鋭利なので使用に際しては怪我に気を付ける。
・アクリル画では水を使用するので、鉄製のナイフでなくプラスチック製か錆びにくいステンレス製のナイフを選択
・油絵ではそのタッチが平滑でつるつるした面になる為、その上に乗せる絵具が筆で描いた時よりも滑りやすく下の層にしっかり固着しづらいので、平滑になり過ぎた時は、下の層にやすりか何かで凹凸をつけたり、固着力の強いメディウムを上の層に乗せる絵具に使用する。または上の層に、絵具が重くなり滑りやすくなる様には大量に厚塗りをしない。
どんなナイフが良いかは一昔前は、ハサミやカミソリやナイフの様な刃物の製造で有名なドイツのゾーリンゲン製のナイフが良いと聞き、今もそのパレットナイフを使用しているがたしかに国産の物と比べて先端は柔らかく根本は剛性に富んでしっかり固く、手先に返ってくる弾力性のせいかその様なナイフの方が描きやすさも良いと言われている様である。