ペインティングオイルは油絵で絵の具を溶いたり混ぜたりする時に絵の具に混ぜて描く。油絵を描き初めの頃はこれを良く使用する。自身の場合は描く事に夢中でそれが何なのか良く分からないで描いていたものだ。とはいえペインティングオイルがどういう物なのか興味を持ったり絵具に混ぜる画用液によって絵の描き味や画風を変えられると知ってからは自分で調合する画用液をカスタムして色々昔の技法書を読み解きながら試したりした。
それで結局分かったのは中々完璧に近いまでにに考えられた配合だなと感じた。
とりあえず仕上げに原液を使うのと薄め液に揮発性溶剤を用意すればそれで済む。ペインティングオイル自体が揮発性溶剤と乾性油と樹脂と乾燥剤で成り立っていて、乾性油だけでは油分が濃すぎるので適度に揮発性溶剤が入る事により適度な油分になると同時に筆伸びを良くしていて、乾性油だけでは長い時間をかけて乾燥する中で絵具の皮膜の柔軟性が失われるのを樹脂分を入れる事により補強しつつ樹脂の速乾性が絵具の表面部での乾燥を助けて、そこに乾燥剤が加わる事により内部からの乾燥を速く均一にする、という役割を果たす。それぞれが適切な比率で配合されている。
描き始めの頃は物足りないもしくは他の可能性を求めてペインティングオイル以外の各画用液の原液を集めてみたが一つの完成形としてはペインティングオイルで良いという結論に達した(他に面白い使い方もありそうなのでその結論に留まる気は無いが)。
その中で感じたのはペインティングオイルも大別すると二種に分けられそうだ。一つは揮発性溶剤のテレピンと天然樹脂を主体とした古典的技法の為の画用液。中世の頃はやはりテレピンが主に用いられていたのもあるし天然樹脂はテレピンの方が溶かしやすいのでおそらくテレピンが用いられている。そこにリンシード又はポピーオイル等の生の乾性油か加工油であるスタンドオイルそして乾燥剤が加わる。
もう一つは揮発性溶剤のペトロールと合成樹脂を主体とした現代的な画用液。合成樹脂は扱いやすく耐久性も強く同じ化学系である石油系溶剤であるペトロールと相性が良い。溶解力がテレピンに比して低いので生油と合わせて配合されているペインティングオイルが多い様に見受けられる。
さらに細かく分けていくとあとは表現したい画風によって用途が分けられている。艶を出したり消したり、タッチを出したり消したり等々。
当たり前なのだけどやはりペインティングオイルの構造は油絵を描く際の工程に対し中々理にかなってる故に初心者からベテランまでこれで事足りる様に感じる。あとはどれだけ使いこなせるかと自分画風に合った物を選ぶかという絵描きの腕と目利きによるのだと考える。