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油絵具のペースト状メディウムについて

油絵を描く際に絵具に混ぜて使用するメディウムは瓶に入った液状の物が一般的である。
その事はよくあるイメージ像として画家はパレットを持っていてそのパレットに液状のメディウムを入れる油壺が付いていている事からよく分かる。少量の液状メディウムを加えるだけなら硬い練りの絵具で艶も少なく不透明に厚塗りしやすく、多量に加えれば薄い伸びの良い透明度も高く艶も多い塗りがしやすくなるのでどんな画風にも対応しやすいので液状メディウムはよく使われる。

もうひとつ液状メディウムと別に、絵具同様チューブにメディウムが詰められたペースト状のメディウムもある。ペースト状のメディウムは液状でなく高い粘性のある硬い練りが特徴である。含まれる揮発性油や乾性油や樹脂や体質顔料の量により硬軟は異なる。
用途としては、液状メディウムと同じく絵具の耐久性の強化や透明度・光沢度の付与がある。そして絵具の練りの硬さや塗りの厚さを変えたく無く同時にメディウムの恩恵を受けたい場合にこのペースト状メディウムは効果的である。例えば、厚い塗りで透明度や光沢度を上げたい時や硬い練りでもメディウムを加えて絵具単体よりも耐久性を上げたい時にそれらの希望を実現する事が出来る。

現代ではペースト状メディウムは乾性油から製造される合成樹脂であるアルキド樹脂と石油系揮発性溶剤を使用した物が多い。アルキド樹脂自体は耐久性にも優れ粘性がとても高いので硬練り状のペーストメディウムに適している。粘性の硬軟の調整や伸びの良さを出す為に薄め液としてペトロール等の揮発性溶剤が用いられ、その他の調整の助剤として乾燥促進剤や体質顔料等が加えられる事もある。樹脂の性質として基本的に速乾性が高い。古くからあるペースト状メディウムだと硬さを与える天然樹脂や蝋や体質顔料を補強する為に生油及び加熱重合した乾性油が併せて使用されてもいる物もある。

使用方法はチューブからパレットに出して絵具に筆で練り込む。もしくはパレットナイフで練り込むと均一に混ぜる事が出来、しっかり練り込む事でメディウムの効果を絵具全体に完全に行き渡らせる事が容易になる。あとは通常の絵具と同様にそのまま絵具を厚塗りにしても良いし揮発性油で薄めて伸ばしても良い(乾性油を加えても樹脂量に対し適量なら問題無さそうであるが練りが液状に近くなる事と油分の増加が必ずしも良いとは限らないので私見では加えるメリットはあまり見出せない)。

油絵は近現代的技法では絵具を厚く塗る事が多いので耐久性や使い心地を担保するのにペースト状メディウムは適していると考えられる。
そしてフランスの絵具メーカーであるルフランブルジョワ社の発刊する「油彩画の技法」という書籍のペースト状メディウムの説明のページに掲載されている画家の作業風景を描いた古典絵画においてパレット上にゼリー状のメディウムが発見されている事に触れている事から必ずしも近現代の為だけのメディウムであるとは限らないのかもしれない。


(左)24時間経過したアルキド樹脂
(右)出したばかりのアルキド樹脂