鉛筆画とデッサンの違いとは、
画材で言うならば、前者は鉛筆(消しゴムや擦筆等も含む)のみで描いた(用いた絵具による)絵画ジャンルの一分類であり、後者は鉛筆や木炭を用いた絵が代表的であるが全ての画材においても描く事の出来る絵画形式または要素である(絵画ジャンルとして分類される事もある)。
そして両者共に鉛筆を用いた場合の比較で言うならば、鉛筆画とデッサンはどちらもいずれか一方も含むものであり鉛筆画であってもデッサンは含まれデッサンであっても鉛筆画であり得る。
その前提を踏まえつつそれぞれを定義すると、
鉛筆画とは鉛筆で描き上げ完成させた絵(または完成予定の絵)つまり本画または作品としての絵となり細部まで仕上げられたものを指す事が多い。完成までの青写真がある程度(創作の意図に沿って)想定されて製作される。
デッサンとは、完成させ本画つまり作品として仕上げるタイプの絵では無く、むしろ実験的な要素も含みつつ描く対象の表面的な細部よりもむしろ本質的なエッセンスを重視し(スケッチやクロッキー等と同等とも言える)、絵における先の見えない課題の学究を目的とした、いわゆる習作と呼ばれるものである事が多い。
良い鉛筆画においては丁寧な仕上げにより作品として完成していてもデッサンの要素はしっかりと骨格の様に表れ、良いデッサンにおいても未完成の様に見えてもそれだけで成立する美しさを備える。
鉛筆画という語については分かりやすいがデッサンという語は一概には分かりにくく、絵及びビジュアルデザイン全般における(または平面だけで無く彫刻等の立体の造形物にも適用される事もある)、描いている対象の構成やバランスの良し悪しを指す事もあったり、または込めた創意や意図や設計等の様なコンセプトやエッセンスを指す事もある。
もし鉛筆を用いて描いた絵に鉛筆画とデッサンのどちらかを定義する場合には、これら双方の要素を比率の違いは様々にあれど含む割合に応じて大まかにどちらかに定義される事が一般的である。または作者がどちらを意識して製作したかにも拠る処が大きい。