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ルツーセについて

描画の際に絵具に加える描画用ニスがあり完成後に仕上げで画面保護の為に塗る仕上げ用ニスがある中で、ルツーセとは加筆修正用のニスとしての画用液である。

油絵の製作の途中の段階においてレタッチ(retouch)つまり再度加筆する際に使用する。油彩画を描くにあたり描画を中断した場合一度描いた絵具の層を乾かしてからその上に重ね塗りする事は従来の描き方でありその際に使用する。加筆する際にその乾かした下地となる層が、上塗りする絵具が混ぜるメディウムが足りなかったり揮発性油を使い過ぎたり下層に吸収されたりで、艶(光沢)を失う事が全体的にもしくは部分的にしばしばあり、その事で色味が明度彩度の点でくすんだ様に変わってしまい、本来の色をもとに重ね塗りして描き進めていくはずのところで元々の色味を失う事により加筆修正が難しくなってしまうのを樹脂により光沢を付与する事の出来るルツーセを塗布する事で艶を復活させ本来の色味を取り戻し加筆を通常通りに進められる様にする役目をルツーセは果たす。

原材料は天然樹脂のダンマル樹脂で揮発性油で溶解させた溶液で使用される。または合成樹脂を溶解させた物。

艶を失った下地は吸収性が高くなり再度上に乗せた絵具もメディウムとなる展色材が下地に吸収されやすくなり繰り返し艶を失うという事になりやすくなるので、ルツーセという樹脂の層を挟む事により吸収性を遮断し抑える役目も果たす。ルツーセに使用される樹脂は油溶性の再溶解性があるので重ね塗りする際に塗布しておくと上塗りする層と下地となる層の間で溶けて層間を繋ぎ上塗りの絵具の下地への食いつきを良くする接着剤の役目も果たし絵をより強固にする。

樹脂の濃度が完成用の仕上げのニスや調合用途のダンマルワニスより低いので一時的な画面保護用の仮引き用のワニスとしても用いられる事もある。

用い方は原液もしくは多少薄めて、柔らかい筆や刷毛に含ませ、画面全体もしくは艶を失っている箇所もしくは加筆する箇所に何度か薄く艶を調整しながら塗り重ねる。