指で絵を描く方法とは

かのスティーブ・ジョブズがiPhoneのプレゼンにて「iPhoneは何で操作するのか?マウスやスタイラスペンが必要なのか?否、人間には生まれ持った最高のデバイスである指があるじゃないか!」という様な事を言っていたが、

それは絵にも言える事で、

絵は筆で描くという一般常識に捉われず指で描いても良いのである。古代では元々はそうであったであろう(動植物性の原料を擦り潰し水で溶いた物などを)。ただ毒性のある絵具があったり筆の持つ毛にしか出せないタッチ(筆触)があったりもするので筆の方が良い点も多いとはいえ。

そもそも指で描くという事は身体的な行為として指・手・腕の身振りで宙に何かを描いてみせるだけでも(絵画的な道具を用いずとも)それを見た人に残る軌跡によって成立する行為と言える。であるから湿気による曇りガラスや砂浜や砂場等に描く事でも尚更成り立つ。これらは原始的であると同時に根源的な方法とも言える。そしてやがて時代が進み絵具の製造技術の発達に伴い様々な用途や利便性のある筆やペン(筆記具)を用いる様になるわけではあるが。

ただ近代になっても描画にとって指はとても重要なツールであり(現代のCGソフトに指先ツールがあるくらいに)、筆やペンと併用して使用される。

とりわけ絵具の中で最も指を使うのはパステルであろう。パステルのソフトタイプの物は最も適していると言える。鉛筆の様に持って描く以外に、含まれるメディウムが少なく固まる事がないので粉末状でにもなるパステルの顔料の滑らかさをいつまでも保ちつつ指で画面上に擦り拡げる事が可能である。

他にもクレヨンもパステルに近しい使い方が出来る。鉛筆や木炭や色鉛筆においても指先を使う事でぼかしの効果を与える為に指を使う事はとても多い。

今まで乾いた絵具すなわち乾式絵具を例に挙げてきたが水分や溶剤を含む湿式絵具においても指を使う事は可能である。ただし水性絵具では速乾性がある為に一回の塗りにおける指を使う事の出来る時間はとても限られる。油性絵具においては乾燥に時間がかかる為にその時間は長くなる。使用法としては主に部分的なぼかしに用いられ(油彩の古典技法では画面に擦り込む様にぼかしたり)、他には現代アートの様なアクションペインティング的な荒々しいタッチを取り入れる為に指(又は手の平や足の裏等)に直接液状の絵具を着けて直接描く方法もある(ただしパステルやクレヨンの様に直接手に取る事が前提の絵具と違い毒性のある顔料の絵具に注意しなければいけないが)。

そして現代では先にも挙げたがタッチデバイスによるCGソフトやアプリにてスタイラスペン以外にも指は多く使われる。