油絵具において、シルバーホワイトは乾燥も速く丈夫で混色もきれいにできるのだが、光が長期間当たらないと黄色く変色してしまう性質がある。これは欠点でもあり味でもある。配色的にどのように作者が用いるかによる。しかし再度しばらく光に当てておけば変色も元に戻る。
とはいえ、鉛白独特の味わいも良いが、なるべく色の変化は無いにこしたことはないので、対策を講じてみる。
いくつかの案として、
黄変は鉛白単体で起きるのではなく油との結合によって起きるので
油分を減らす方向で考えると、
①油を抜く、または揮発性油を多めにして油分を減らす。
②油絵具と混色可能な油分を含まない絵具、例えばテンペラ絵具のシルバーホワイト、を加えて減らす。
③鉛白の顔料を加えて相対的に油分を減らす。
①③は耐久性に欠けるので×。
②は某メーカーの解説書にも記載されている方法なので問題は無さそうである。
とはいえ市販のテンペラ絵具も製造中止になってしまったので、
手練りするしかないのが手間がかかる。
もう一つ別の方法として、
油絵具の他のホワイトと混ぜて黄変するシルバーホワイトの量の割合を減らす方法がある。
①ジンクホワイトと混ぜる。
②チタニウムホワイトと混ぜる。
③その他のホワイト。
①これはチタジンクなどの名称で絵具化されている。
しかしこのホワイトに上塗りすると亀裂を引き起こすので注意深く使う必要がある。他のホワイトと混ぜたとしても同様。
②このホワイトは着色力も強く、混ぜる他の色を白くし過ぎるおそれもあるのでシルバーホワイトのメリットとは真逆を行く。乾燥も油分が多くなるので遅くなり、ツヤもシルバーホワイトに比べて多くなる。
しかしチタニウムホワイトはジンクホワイトとは異なり不活性な顔料で、他のメディウムや顔料と反応して何かを生成したりしない顔料なので、安心して使用できる。
③他の、といっても一般的なパーマネントホワイトは基本的に着色力などの使いにくい点を改良したチタニウムホワイトの顔料を使用した絵具なのでその透明性や着色力などの違いを差し引けば、チタニウムホワイト顔料と混ぜるのとさほど違いはない、あとは新開発された青味のある白であるセラミックホワイトもあるが、これも不活性顔料なのでこの辺りは色味などの好みかと考える。
②のチタニウムホワイトとシルバーホワイトを混ぜるのが、色味も耐久性も保持できるので良さそうだ。着色力や透明性の点においてもを程よい程度を保つ為に、混ぜる量を50%ほどに抑えて運用してみたいと考えている。
追記:
暗所にしばらく置いて確認してみたところ、
青色や純白に近い白の場合は、混ぜるメディウムを耐久性を保つ最小限までにすれば黄変も目立たない。青や白において黄変は目立ちやすい。混ぜる色により鉛白に混ぜるメディウムの量を変化させるのも一つの手である。