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アクリル絵の具を使う理由③

前回の記事 アクリル絵具を使う理由①

三つ目の理由は、

二つ目の理由で挙げた絵具の質感とリンクする。
そこで挙げた、空気のような質感、は自分の見える「マット」を率直に表現する為のダイレクトさ、つまり直接性を持っている。

個々の物体には材質感はあるが、人間が見る色となる光自体には艶や深みやテクスチャはない。物体の表面からの反射の色もしくは光源からの色と、空や影のような暗いフィルムがかかったような面色だけがある。
全ての面が平たくフラットに一様に見えるのでなく、同じ面や色でも強弱前後のビートを刻む光と色のリズムがあり変化がある。そしてそれは立体感や存在感のあるマット(艶消し)として在る。自分にとってはそう見えて感じる。おそらく他の人もそうだろう。ただその時にそう見えてそう感じるのならそう描きたいと思っているのが正直な気持ちだ。なので色と線に艶や深みや盛り上がり等のテクスチャの素材感が少ない純粋な空気のような要素として扱う必要がある。

他の絵具はテクスチャが際立つ、それが違和感の一つでもあった。耐久力の点でも更に強くする事が可能ならそれは自身にも鑑賞者にとっても良い事だ、という考えもあったので納得できなかった気持ちもあった。もちろん先に表現ありきで、かつ人それぞれだが。とはいえゴリゴリザラザラなテクスチャなんかは面白いと思う。もちろん自身が探求時に他の絵具で懸命に描いた時の気持ちと作品に嘘はないと思っているが。
そしてやはり探求せざるを得なかった。

自分の正直な気持ちを描きたい、とした時、そのためにはどうしても艶消しで不透明もしくは半不透明な絵具である必要がある。
(面色は半不透明か透明で。)

というのがアクリル絵具を使う三つ目の理由である。

そして自分の理想としては、基本は不透明なアクリル絵具なのである。

違和感を心の声に素直に考え探求する。
そうする事により自分を120%信じる力が手に入る。

そこをスタート地点として行う事が重要だ。