ポワンティエという絵画技法がある。
白や明るい色の小さい点を画中に置く事で、きらめく光の点を描く技法だ。
フェルメールの絵でも使われている事で有名だ。
ポワンティエはア・ラ・プリマ (直塗り)と並んで、技法としてはもちろん、その技法名の言葉の響きも好きだ。柔らかい響きを感じる。 厚塗り技法のインパストも白や明るい色で物の明るい面の物質感、ひいてはその物質の光の表面反射をも表す。 ポワンティエもほんの少し厚く塗る事ができる、局所的なインパストとも言える。とはいえ光であるので厚くしないほうが良い。 光が当たっている物、たとえば煌めく指輪のように物として捉えるなら可能ではあるが。 インパストはダイナミックで花のある威力の大きい技として使える。 ポワンティエはまさに、一点をたったひと突きで絵を見る人の心も貫くような、小さいが画面全てを引き締める技として使える。 光を表すという点において、古典写実絵画から印象派絵画においてまで変わらない普遍の技術として使われている。
使い方としてはきらめかせたい描画対象物の光が集まる部分に白や明るい色の点をのせる。 その描画対象の固有色と光の点としてのせる色の間に、その二つの色の中間の明度で、 その二つの色を光と闇として連続させる自然の色の見え方の法則であるナチュラルハーモニーの色を間に挟むと光として表現できる。
光の点の色 → 中間で挟む色 → 対象の持つ固有の色 →固有の色を暗くした色(陰の部分の色)
りんごの色の陰影の移り変わりで例えるなら
白(光の点) → 黄(繋ぐ色) → 赤(固有色) → 赤紫(陰の色になり始める) → 青(最も濃い陰) → 青紫(少し明るい反射光)
のように。