アクリル使いの視点から言うなら、
それは、
アクリル絵具の技法の特徴は、
・乾燥の速さによる
色を重ねる事にある
・速く乾燥し、乾くと耐水性になる
という点を活かすにつきる。
塗る、混ぜる、重ねる、という基本の技法はどの絵具でも概ね同じで、
その絵具の性質により使い方が変わってくる、という事だけである。
使用者のとらえ方によるが、
絵具によって、
その三つの各基本の技法の得意分野が変わってくる。
各絵具でできるそれら基本の技法は上述のとおり重複し、そのできる事の分野ごとの各パラメータが異なる。
絵具の特徴である、
それら各技法のパラメータを決定する
乾燥速度、耐水(油)による被覆性、透明さと、
大きくA〜Cの三段階の性質のパラメーターを割り振ってみると、
絵具名 | 乾燥速度 | 被覆性 | 透明度 |
---|---|---|---|
油絵具 | C | A | A |
透明水彩 | A | C | A |
アクリル絵具 | B | A | B |
となる。
乾燥速度と被覆性は何をか言わんやだが、
透明水彩は名のとおり被覆はほとんどせず、
油絵具は厚塗りや不透明顔料で被覆も可能であり、透明・半透明顔料で透明に薄塗る事もできる為に、被覆と透明の相対するパラメータがAとなる。アクリル絵具にもほぼ同じ事が言える
そして油絵具とアクリル絵具の乾燥速度は全く対極にある。とはいえアクリル絵具も完全乾燥に72時間要するので、透明水彩との比較もありBとした。油絵具の完全乾燥期間が半年から一年以上という事を考えると限りなくAに近いBかもしれないが。
ガッシュなどの不透明水彩を考えると、油絵具やアクリル絵具も透明性を感じやすくなるが、ここでは考慮から外し、顔料自身の性質や厚塗りによる不透明で考える。
透明さについては油絵具とアクリル絵具には透明・不透明の両面の絵具があり、その透明の種類の多さや透明度で比べるとお互い遜色はない。透明水彩と油絵具での透明技法の用途の質が異なるので比べる事は難しいが、その二つの各絵具の透明技法は全絵具中においても秀でているのでAとし、
透明水彩の薄塗り技法と油絵具のグレージング技法に近い用い方をするアクリル絵具を他の二つの絵具同士の透明さと比較した結果をBとした。
それは、透明の度合いでは遜色ないものの他の絵具の亜種とも言える使われ方をされやすく、独自の代表的な透明技法が確立されていない、という使われ方の点による。
アクリル絵具は、ぼかしによるグラデーションはできるが乾燥の速さから油絵具よりぼかしづらく感じるかもしれない。
薄塗りの重ね塗りはその樹脂量の多さから透明水彩のような発色の軽やかさはないかもしれない。
しかし裏を返せば、
ぼかしは補助とし、重ね塗りを主にすれば、乾燥の速さから迅速に上に重ね塗る作業を進める事ができる。
そして耐水性なので、透明水彩のような薄塗りであっても幾重にも重ねながらの描き込みもできる、と捉えることもできる。
透明水彩も多少の厚さを持たせる事も可能であり、
アクリル絵具や透明水彩でも狭い範囲であればぼかしは容易になる。
油絵具も薄く塗れば、乾きも速くなる、など用い方により多少各パラメーターの特性を変える事も可能だ。
とはいえ、概ね標準的な使用においては上記の様になる。
なので特性を充分に知り、活かしたい。