アクリル絵具は基本的には油絵具に比べて制限や禁止事項の少ない絵具であるので、予備知識を持たなくとも損壊や剥離などの事故につながる事は少ない。
数少ない気をつけるポイントとして
・油性面には使用しない
その他に手の脂分の画面への付着にも気をつける
対処としては、脂分をふきとるか、ジェッソを薄く捨て塗りする。
まっさらな油絵具用のキャンバスに塗る場合はヤスリをかける。そうする事で油性面の皮膜の滑りやすい面に凹凸ができ付着しやすくなるが万全を期すならお勧めしない。
油絵具で描いた上に塗り重ねない
既に油絵具で描かれている場合はアクリル絵具を上に乗せるのは危険。その場合は代わりに同じ油絵具か水性アルキド樹脂絵具か油性テンペラで描く方が良い。
・金属やガラスなどのように、平滑な面に使用しない
使用する場合は専用のプライマーを使う
滑りづらいが、木材や布やコンクリートにおいても何らかのプライマーやジェッソを使用したほうが良い。
この二点がカタログや絵具のラベルなどによく明記されている。
他に画面の破壊や劣化につながるものとして、
・低温下で乾燥させない。
4度以下の環境では乾燥の際に、絵具の皮膜が良く造膜されない。造膜する乾燥が終わった後に高温下に移しても戻らない。
・ほこりが付着しやすい
仕上げニスを塗る事で軽減される。
アクリル絵具の皮膜が軟らかく、乾燥後に表面に気孔ができる為。
がある。
この二点は一般のカタログなどではあまり明記されていない。専門書やメーカーのホームページの奥深くでお目にかかる。
後処理として、
・絵具を洗った廃水を排水口に流さない
一部有害な顔料を使用した絵具がある。無害な顔料でも即有害でないにしても流さないほうが環境に良い。
廃水を固める専用の粉末剤を使用するか、ビニール袋に廃水を入れて自治体のゴミ区分にしたがいゴミ袋に捨てる。
環境も考慮して絵を描きたい。
それらの点を考慮すれば、
サイズの小さい絵から壁画かそれ以上にも描けて、
普段絵を描かない人や入門者にも使いやすく、究めればハイエンドな使い方もできる絵具であると考える。
※当然、食べたり、用途以外の絵具の限界を超える使用はしないでください。