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アラプリマのコツ

アラプリマとはイタリア語であり、
日本語では直描きや一気描きでの訳が多い。
英語ではウェットインウェットが水彩の技法の呼び名とともに兼用されている。
主に油絵に適用される。
日本でも、印象派でメインの技法として使われてその後現代に至るまで有名な技法としてクローズアップされている。
しかしそれより過去の西洋でも練習のスケッチや、粗描きや下描きなどのエボーシュや本製作以外ではアラプリマは使われていた。スケッチという点では印象派も様式としては同じであるが、公式の発表物として製作されたかされなかったの違いがあった。
アラプリマのように見える本製作でも入念な下描きの上塗りに一気描きのように描かれていた。
乱舞する筆致のフランスハルスやレンブラントはその代表格だろう。
印象派はその下描きの部分が無いかもしくは少なくしている。明るい画面作りと、瞬間を即時に描くという目的の為に。

油絵で実際に使用する時には、
未乾燥なまま時間をかけて描くなら乾燥の遅い絵具や画溶液を使う。
たとえばシルバーホワイトより乾燥日数の遅いチタニウムホワイトを使う。
溶く油はリンシードより乾燥の遅いポピーオイル。
溶剤はテレピンより揮発の遅いペトロールやスパイクラベンダーオイル。
樹脂は表面乾燥を速めてしまい筆が取られやすくなるので、油に対して少なめか入れない。耐久性の補強を重視するなら少々。
当然、乾燥剤を使わない、乾燥剤の入っていない材料で。

外部要因として、
気温の低い時に描く。
薄塗りより厚塗りで。
そのほうが遅く乾く。

しかし上記の乾燥の遅い材料での描き方だと、描きあげた後の乾燥も遅いので、塗り重ねやニス仕上げは長期間を要する。
一般的なニス仕上げが可能となる乾燥期間である半年より、更に多めに期間をとるほうが賢明かと考える。

けれど、一回かプラスαで描くので、重ね塗りしていく描法より結果的には時間はかからない。
大画面はそうもいかないけれど。

がしかし、時間をかけるよりも、短い時間の中で対象をどう見るのかという見方をよく考える必要は通常の描き方よりも問われるように考える。

アラプリマの真髄は、
グレーズで精緻に時間をかけて描く、時間を止めたような精密画と異なり、
本来ならば対象と向き合ったそのときの時間が描かれるのだから、
あまり日をまたいだり時間が途切れるように、時間をかけないほうが良いと考える。
(時間の経過が積み重さなるという考え方もあるが。)
だから通常の、乾燥が速くならない程度の、道具でも問題なく事足りる。

写真のように一瞬を切り取るのでなく、
その描かれる時間の中に描かれる対象の生きているまたは存在している躍動する生のリズムが、絵描きの目と「もの」の見方を通して刻まれる。ある意味、そこに時間軸が生まれる。絵描きが向き合った短い時間か、それとも対象が永遠に昇華されたとてもとても長い時間なのかは分からないが、または両方なのか、とも考えるが。

生動するがごとく絵に刻まれる事がアラプリマの魅力である。