部屋に絵を飾るなら、
いろいろ気を付けたい事はあるけれど、
ひとまずは、
「サイズ」と「版面率」と「数」の三つの組み合わせに気を付けたい。
「サイズ」は絵が単体で持つ大きさであり、その効果を考慮したい。
大きいサイズなら雄大さ・貫禄・威圧感などが増す。
小さいサイズなら優しさ・慎ましさ・おとなしさ・静けさなどが増す。
絵単体だけで考えてみても、
真正面から向かいあって絵を見る時には、周りの空間の広い狭いに関係なく、人に対しての絵の大きさが、目に飛び込んでくる絵の印象を大きく変える。
その大きさの持つ意味を考えたい。
「版面率」は絵や印刷物の用語を借用している。ここでは、壁面に占める絵の面積の割合という意味で使いたい。
絵の面積の割合が大きくなればなるほど壁面は賑やかさを増す。
絵の面積の割合が小さくなれば壁面控え目なおとなしい印象になる。
大きい絵が美術館の広く静かな空間では静謐な絵であっても、住宅のリビングではそうとも限らない。
絵の大きさと絵の面積を差し引いた壁面の面積との割合を考慮したい。
「数」は文字のとおり、ひとつの壁面に飾る絵の作品数を指す。
当然少なければ緊張感を与える。よく言えば雰囲気や印象が締まる。
多ければ賑やかになり、開放的で自由なカジュアルさが増す。。
上の「版面率」とあわせて考えると、
版面率の割合は同じでも、大きい絵が一枚どーん!と仁王立ちするように飾られているのと、小さい絵が何枚も自由な配置で飾られているのとでは、同じ版面率でもその効果は異なる。そのとき前者では重厚な高級感を感じ、後者ではカジュアルな賑やかさを感じる。
作りたい部屋の雰囲気をイメージしてコーディネートしたい。
そして最後にもうひとつ加えて「配置」を。
絵をどの位置に配置するか。
絵に関わる者のはしくれからまたはその飾られる絵自身からという意味を込めつつ理想を言えば、
壁面の真ん中を中心に飾るのが好ましい。複数枚あるならそれをひとかたまりとして。
とはいえ一般住宅には窓や家具もあったりするので、極端に部屋の角のような端でなければ左右に寄っても問題はない。しかし高さは一定に配置したい。人が立ったときの目線に当たる高さ付近か、やや高いくらいにしたい。
もちろん絵の褪色や破損をまねく直射日光や高温多湿は避け、無いほうが良いが仮に落下しても絵が他の物や人に被害を与えないようにして飾るべきである。
こういったコーディネートはふだん洋服や家具の配置などでも行っている事に似ていて難しい事ではない。ただ最終的には感性でよいのだけれど、少しの知識と計画があるとなお良いかと。
絵を部屋に飾る時はひとまず、
これから絵を選ぶなら、絵を用いて作りたい部屋の全体像のイメージを、
もしくはすでに所有している絵があるなら部屋との関係性を、
そして絵の「作風」や「額縁」などとも併せて考慮して部屋に飾りたい。
美術館やギャラリーとは異なる趣向で、小物や花もあわせると美しいコーディネートになって良いかもしれない。
などの三つのポイント(加えて一つ)を考えてみたい。
とはいっても、それより何より絵を飾る事を楽しむ事が大切であると、
そんなことを絵描きの視点から考えてみた。