トレースとは絵・写真・画像等を写し取る技法である。
代表的な方法としては、
・トレーシングペーパー
トレーシングペーパーを使用したトレースの技法では薄く透けるトレーシングペーパーを原画に被せて線で形を写し取る。色や陰影の写し取りはトレーシングペーパーが描画用紙ではないので向いていない。通常は線だけ写し取り、トレーシングペーパーとその下に敷いた転写紙を新たな描画用紙に置いて、写した線を鉛筆等でなぞる事により転写紙を介して描画用紙に写し取る事が多い。
・ライトテーブル
ライトテーブルは漫画やイラストを描く際によく使われる転写・トレースの道具である。
蛍光灯やLEDにより発光する台である。この台に原画を置きその上に原稿用紙や画用紙を置いてペンや鉛筆等で線画を写し取る。これも彩色よりも主に線画を写し取る為の道具である。光の強さにもよるが中程度の厚さの画用紙くらいまでなら光で透かす事が出来る。
専用の画材道具として市販されているが原理的には透明な板の下からライトで照らして用紙を置ける台状にする事が出来れば簡単に作る事が出来る。
・木炭の粉を利用した転写
代表的な技法ではないが15,6世紀くらいの中世ヨーロッパで使用されていた技法で、下描きの線画の輪郭線をなぞる様にいくつもの穴を針で開けて、その下描きの用紙を本番の用紙に乗せてその穴から粉末状にした木炭の粉を流し落とす事により本番の用紙に線画を写し取る。この技法は先に挙げたトレーシングペーパーやライトテーブルの様にサイズの限界が決まっていないので大きな絵画にも利用しやすい。木炭でなくても鉛筆やパステルを粉末にした物や粉末顔料でも代用出来る。
・プロジェクター
プロジェクターつまり映写機を用いて描画用紙やキャンバス等に原画を投影して線画を写し取る。大きい絵を描く時に用いられる事が多い。
・レイヤー
現代ではもはや一般的な方法でパソコンのCG(コンピュータグラフィック)ソフトのレイヤーと呼ばれる透明な用紙を何枚にも重ねる事の出来る機能で描いていく方法がある。例えば最初のレイヤーに読み込んだ写真なり絵なりの原画をペースト(貼り付け)し次のレイヤー上に線画や彩色を施していく。