・模写
媒体を問わず絵、写真、画像などの平面図像を新たに描かれる図像とは異なる位置・場所に手本として置きその手本と同一または同一になる事を目指して目視と人の手により写された平面図像を一般的には指す。図像ではない立体物を手本として描く場合は模写ではなく写生やスケッチという用語が充てられる。
・トレス(トレース : trace>
描画する用紙や画面の下に手本とする図像を下敷きとして同位置に置き手本と同一の構図や形及び色彩や陰影等を写し取る。または描画面の正面からプロジェクター等により手本となる図像を投影させその図像を写し取る。昔から続く手法だと先に挙げたプロジェクターを使用した手法や透過性のある薄い紙やトレーシングペーパーの様な半透明の薄い紙を上に乗せてなぞり写し取る。またはガラス板を机として下から灯りを当てる事により手本と手本に重ねた紙を透過させ黒い線や紙の白より暗い色により透過状態にならずに浮き上がった線や形をなぞり写し取る。これを一つの台状に製品化した物がトレス台と呼ばれる。近年ではパソコンのコンピュータグラフィックスのアプリケーションソフトでの画像処理の際にレイヤーと呼ばれる層を手本の上に何層も置き写し取る。
用途・目的としてはどちらも練習や作品作りの参考にする為や効率化等の為に主に用いられる。
トレスのメリットは寸分違わぬ写しを比較的直ぐに技量を(写生や模写と比較して)問わず得られる。デメリットは手本の図像に従わざるを得ないので改変等の応用はその改変に見合った技量が無いと難しい。線描の勢いや手本の持つ勢い等のオリジナル性が死にやすい。よほど意識しないと描画の技量の向上は少ないか伸び悩み。
模写のメリットは模写の本意には反するもののトレスとは比べオリジナル性を加えたり改変による応用性がある。技量の向上においては基本的には写生に劣るが写し取る図像が技術的芸術的に素晴らしいものであったり図像から学ぶ高い目的意識によっては写生と同等かそれ以上の技量向上の効果を得る事も出来る。デメリットは技量によっては似せるという事自体が難しい事もある。もちろん手本によっては直ちにとはいかない場合もある。
どちらの手法も漫然と行うのでは足らず手本を活かす意識や学ぶ目的を持って行わないと手本に遊ばれて終わる羽目になるので要注意である。