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樹脂ワニスの種類

基本的に、
油彩用ワニスは光沢と透明性を与え、見た目の乾燥を早め、耐久性を与える。

天然樹脂ワニス

・ダンマルワニス
東南アジアのラワン属の樹脂が原料。
透明性と光沢があり、半透明な乳白色。
中程度の硬さ。
絵具のノリを良くする。
描画以外に、完成のニス、加筆のニスにも使われる。
溶解にはテレピンが望ましい。
ブルーミングと言われる仕上げのニス塗りの際に湿度が高いと曇りが生じる事がある。
現代最も一般的な天然樹脂。

・マスチックワニス
地中海などの樹木の樹液が原料。
光沢はやや抑えめ。透明な淡い白黄色。
出来る皮膜はやや柔らかく、黄変や、樹脂単体では脆く経年劣化する事もある。
画面保護の完成ニスとしてまたは、油絵具に加えてのびを良くするのにも使われる。

・コーパルワニス
アフリカや南米の半化石樹脂または樹木の樹脂を加熱分解したものである。
硬質の樹脂でその中で半化石はより硬質、樹木は比して軟質と分けられる。
濃い褐色で、非常に硬く光沢度も透明性も耐久力も高い。
乾いてしまうと描画溶剤では溶けない。

・ベネチアテレピン
ヨーロッパの唐松の樹液が原料である。天然で揮発成分のテレピン精油を含んでいる。
黄色〜薄い褐色で透明な粘稠体。メーカーにより若干異なる。
光沢と透明性は非常に高く展稠性(広がる性質)もある。
この樹脂は乾燥が遅く、乾燥した皮膜は柔らかい。
仕上げのニスには向かない。
単体では黄変しやすくべたつくので、よくスタンドオイルと併用される。

・琥珀ワニス
ヨーロッパの化石樹脂。
濃い透明な褐色の液状。
古典的な素材で、使用した事はないが、コーパル以上にかなり硬く、透明性や光沢度も高いと言われる。
文献によると描画には適さないようだ。単独では用いないともあったので、他の樹脂や油と併用して完成ニスに用いたのだろうか。
個人的には、唯一blockxというベルギーの絵具メーカーが発売していてそれを見た事がある程度に留まる。同社のWebサイトでも見る事が出来る。

合成樹脂ワニス

・石油樹脂ワニス 海外メーカーの製品にはこの樹脂が採用された油性溶液や調合油が販売されている。日本メーカーの物でも少し見かける。 光沢度と透明性は高く、非常に堅牢。ほぼ無色透明。
描画にも完成ニスにも使用される。
合成樹脂なのでメーカーが開発段階で組成を変化させて様々な用途を生み出しているようだ。

・アルキド樹脂ワニス
大豆油などの乾性油を化学変化させて樹脂にしたもの。性質としては樹脂でもあり乾性油でもあるとも言える。
光沢度と透明性は高く耐久性も高い。
他の乾性油と比して速乾性も高い。
石油系揮発溶剤を含み、やや黄褐色のかなり粘りのある粘稠体として販売されている。
揮発成分の揮発で乾燥する他の樹脂とは異なり、主には酸化重合で乾燥する。 他の樹脂と違い、揮発性分が揮発しても充分乾燥し切るまでは揺変性(チキソトロピー)があるので再度筆を入れやすい。
単独では用いず基本絵具と混ぜて使用する。
乾くと不溶なので完成ニスには用いない。

・ケトン樹脂ワニス
ホルムアルデヒドなどから合成される。
合成樹脂の特徴の通り、堅牢さに優れている。
マイメリという海外メーカーの製品でこの樹脂が使われてるとラベルに記載されていたのを見たのに留まる。