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白色浮出とは

白色浮出とは、

主に土性顔料絵具の暗褐色の下地に白や淡い明色で、描く対象となるモチーフをツートンカラーのモノクロームで描写する古くから使用されてきた西洋の古典的な絵画技法である。フランドルやルネサンスやバロックの絵画の伝統的な技法として用いられていた。

この技法を使用する目的としては、有彩色で色を塗る前の前段階として、または線描による下描きの次の段階として、モチーフの形態と陰影を正確に取るモデリング(肉付け)の役目を果たす。他の技法による描き方では同時に行う事もある有彩色による着彩とモデリングの工程を分ける事により描画におけるデッサンを正確な物とする。そして均一な色の下地によりその後に続く着彩において上に置かれる様々な有彩色に調和のある統一性をも与える。
または有彩色による着彩をせずモノクロのみの着彩で作品として完成させるケースもある。

技法の性質から、重ね塗りをする事の出来る油絵具やテンペラ絵具やアクリル絵具やアルキド絵具とそれら絵具を塗布する事の出来る支持体が使用に適している。各種絵具単体での使用はもちろん、油性面にアクリル絵具を重ね塗りしない限りにおいては(剥落の危険性が高い為)各種絵具を併用する事も出来る。重ね塗りをするのでやはり乾燥の速い絵具で行うか下地だけでも乾燥の速い絵具を用いる方が製作はスピーディーに進む。油絵具を上に塗り重ねていくなら油脂分の少ない絵具でこの技法を行うと油絵描画の原則のファット・オーバー・リーンに適い後々の塗り重ねに都合が良くなる。

手順としては、有色下地に描写する技法であるインプリマトゥーラの様に下地を何らかの暗い単色で均一に全面に塗る。そして下地が乾いたら先に塗った下地の色より明度の高い色で明暗を付ける画法であるキアロスクーロで線や陰影で形を取りながら対象を描画する。この際にお互いの色の明度が出来る限り離れているほど浮出の効果は高くなり、下地も薄塗りより厚塗りの方が暗くなるのでより効果を発揮する。黒の様な最も暗い色を下地色に用いるので無く(黒でも良いが)適度に暗めな中間調のハーフトーンとなるくらいの明度の色を用いる事で、明色で光の部分を描き起こしつつ暗部を下地色より暗い色の透明色による塗りで影の作る闇の部分として塗る余地を残しておくと良いかもしれない。下地色の上に塗って描き起こしいく明色は描き起こす部分の明度によって不透明な塗りはもちろん半不透明、半透明、透明な塗りを織り交ぜていくと良い。明度の高い明部は不透明に、明度の低い暗部は透明にするとこの技法の特徴を活かす事が出来る。

この技法の最大の特徴として、単に明るい色の絵具と暗い色の絵具を混ぜ合わせて出来る減法混色による単純な灰色を作るのでは無く、重ね塗りにおける上層の明るい色から表面反射された色光と下地から透過して反射された暗い色の色光が混ざり合う朦朧とした光の様な銀灰色とも言える光学的な中間調のトーンが作る陰影が現実の光と闇の見え方に近い為に、より視覚的に正確なモデリングを可能とする点にある。

黒板にチョークで描かれる絵はまさにこの白色浮出と言える。